特殊相対性理論
よみ方
とくしゅそうたいせいりろん
英 語
special theory of relativity
説 明
あらゆる慣性系で測定しても光の速さは同じという観測事実(光速度不変の原理)に基づいて1905年にアインシュタイン(A. Einstein)によって提唱された物理理論である。お互いに等速直線運動をしている二人の慣性観測者の測る時間の進みと空間の尺度は、どちらが測っても光速度が同じになるように関係づけられている。この時間と空間の関係をローレンツ変換という。
4次元時空と呼ばれる4次元連続体上の座標系として時間軸と空間軸を設定すると、ローレンツ変換は4次元時空の座標変換とみなすことができ、光速度不変の原理は座標変換の不変量としての意味を持つ。この4次元時空をミンコフスキー時空という。物理量はミンコフスキー時空上で定義され、ローレンツ変換で形を変えないミンコフスキー時空上の方程式として重力以外の物理法則を表した理論が特殊相対性理論である。
ローレンツ変換に対してその形を変えないという要請は、運動の法則に対するガリレオの相対性原理を光速度不変の原理を含むように自然に拡張することである。またこの要請から自然界に存在するさまざまな「場」は、ローレンツ変換全体のつくる群(ローレンツ群)の表現でなければならないことが導かれる。ちなみにローレンツ変換の表現としてスピノル表現が存在することが、自然界にフェルミ粒子(フェルミオン)が存在する数学的理由である。
2022年07月24日更新
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