タイタン
よみ方
たいたん
英 語
Titan
説 明
土星の最大の衛星で、直径5150 km、質量1.345×1023 kg、密度 1880 kg m-3 であり、太陽系において地球以外で唯一現在でも地表に液体(メタン)をたたえる天体である。タイタンの地表温度は絶対温度93 Kで液体の水は存在できない。タイタン表面の液体メタンは、地球上の水と似た役割を果たしている。すなわち、太陽エネルギーを駆動力として、地球の水循環と同様に、メタンの蒸発、雲の形成、降雨、そしてまた蒸発というメタン循環がタイタンで起きている。
タイタンには窒素を主成分とする厚い(表面で1.5気圧)大気が存在する。大気には3%のメタンが含まれる。タイタンの大気では、光化学反応により窒素とメタンから有機分子が生成され、さらに高分子化が進むと考えられる。生成された有機物をソリンと呼んでいる。これはタイタン大気中にスモッグとして分布して大気を不透明にしている。タイタンには、地球と似た気象現象と地形が存在する。大気中にはメタンの雲があり、メタンの雨が降って河川や湖を形成する。以前は、メタンとエタンからなる面積の広い海が存在したと考えられていたが、カッシーニ探査機の観測では現在は液体メタンは極域に湖として存在する。
カッシーニ探査機から分離されたホイヘンス探査機の着陸地点は10-20 cmほどの氷塊が散らばっているが、土壌には液体のメタンが含まれていた。表面に衝突クレーターは少なく、表面年代は若い。カッシーニ探査機のレーダーにより、砂丘地形が発見されている。カッシーニ探査機によるタイタンの自転運動の観測から、エウロパのような地下海の存在が示唆されている。一方、カッシーニ探査機のフライバイ観測で得られたタイタンの慣性能率は0.34で、ガニメデの0.31より高い。そのため、タイタン内部では氷と岩石が完全に分離していないのではないかと、考えられている。
2025年01月10日更新
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