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r過程

 

よみ方

あーるかてい

英 語

r-process

説 明

速い(rapid)中性子捕獲とそれに続くベータ崩壊により、核図表で中性子過剰領域にある鉄属より重い元素を形成する過程。一方、中性子捕獲のほうがベータ崩壊にくらべて遅く(slow)進行するものはs過程と呼ばれる。両者は核図表の上で異なった経路を取る。r過程で作られる元素の存在量は、質量数が80, 130, 165, 195付近の4つの元素群で極大値を示す。r過程は鉄属元素と高温(109 K 以上)の中性子が豊富な(数密度が1020 cm-3以上)領域でしか起こらない。そのような場所として重力崩壊型の超新星爆発中性子星同士の合体で発生するキロノバが長らく有力視されてきたが、キロノバは2017年8月17日に近距離の銀河NGC4993で発生し、それが重力波と全ての波長の電磁波で観測された(GW170817)。この観測から、中性子星同士の合体で、鉄より重い金、プラチナ、ウランなどのr過程元素ができることが確認された。マルチメッセンジャー天文学も参照。

2020年10月01日更新

関連画像

*核図表上におけるs過程とr過程の経路(それぞれジグザグの実線)。r過程については模式的なもの。小さな黒丸は安定核種を示す。原子核を構成する中性子の魔法数N=126に対応して、s過程とr過程によって創られる存在量がそれぞれピークとなる2つの安定核種の位置が示されている(破線もしくは矢印の延長線が示す安定核)。魔法数N=50、82についても同様に、ピークが2つずつ存在する。
望月優子・佐藤勝彦「元素の起源」、シリーズ現代の天文学第1巻、岡村・池内・海部・佐藤・永原編『人類の住む宇宙』第2版3章 図3.20(日本評論社)[原図:Rolfs & Rodney,“Cauldrons in the Cosmos”, Univ. Chicago Press (1988), p.472; Seeger, Fowler & Clayton, Astrophys. J., Suppl., 11, 121 (1965)] を改変。