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リンドブラッド共鳴

 

よみ方

りんどぶらっどきょうめい

英 語

Lindblad resonance

説 明

銀河円盤重力ポテンシャル中でほぼ円運動する天体の運動は、中心周りを円運動する点の周りに微小な半径で楕円運動する(周転円運動)という形で記述できる。この微小半径の楕円運動の角速度を周転円角振動数と呼び、記号\kappaで表す。力学計算を行うと、\kappaは遠心力も考慮に入れた実効ポテンシャルの2階微分の平方根に一致することがわかり、一般に重力ポテンシャルの形状によって大きさが決まる。一方、この銀河にパターン速度\Omega_pで回転する弱い2本腕の非軸対称ポテンシャル(渦巻形)があるとして、ある半径を公転する天体の公転角速度\Omega
\Omega_p=\Omega\pm\frac{\kappa}{2}
を満たしていると、平均円運動からのずれに対する振動と非軸対称ポテンシャルによる摂動とが共鳴を起こす。これをリンドブラッド共鳴と呼ぶ。
多くの銀河の重力ポテンシャル形状では、リンドブラッド共鳴が発生する半径は\Omega_p = \Omegaとなる共回転半径の内側と外側にでき、内側のものを内部リンドブラッド共鳴、外側のものを外部リンドブラッド共鳴という。内部と外部は共回転半径に対する幾何学的位置で呼び分けるため、内部リンドブラッド共鳴半径が2つ以上存在することもありうるし、リンドブラッド共鳴半径が存在しない銀河もありうる。

2018年09月16日更新

関連画像

*密度波の伝播領域。銀河のポテンシャルと角運動量が決まると円運動の回転速度 Ω と周転円角振動数 κ が決まる。この系にパターン角速度 Ω_p の非軸対称ポテンシャルがあれば、その値によって共回転(CR)とリンドブラッド共鳴(ILR, OLR)が特定の半径で生じる。ただし、図に例示した値より大きな Ω_p(たとえば、Ω_p=0.3)であれば、同じポテンシャルでも内部リンドブラッド共鳴が生じない場合もありうる。
土佐誠「銀河の渦状構造の理論:密度波理論」、シリーズ現代の天文学第5巻、祖父江・有本・家編『銀河II』第2版 9.1節 図9.3(日本評論社)