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KAGRA大型低温重力波望遠鏡

高

よみ方

かぐらおおがたていおんじゅうりょくはぼうえんきょう

英 語

KAGRA Large-scale Cryogenic Gravitational Wave Telescope

説 明

岐阜県飛騨市にある神岡鉱山の中に建設された日本の大型低温重力波 望遠鏡。KAGRAの愛称(KAは神岡のKA, GRAはGravity やGravitational wave といった重力をイメージする言葉の頭の文字をとったもの)がつく以前はLCGTと呼ばれていた。基線長 3 km をもつレーザー干渉計を用いて、直交する基線が重力波によって微小に伸び縮みする量を測定する重力波検出器である。レーザーを基線中で何回も反射させて伸び縮みの量の測定精度を上げる。反射鏡を揺らす原因である地面振動を小さくするため、地下に設置された。地面振動に加えて鏡を揺らすもう1つの原因である熱雑音を抑えるため鏡をマイナス250度(20 K)まで冷却する。光学特性に優れていること、低温に冷却すると熱伝導や機械的損失が少なくなることなどからサファイアを反射鏡に用いる。2010年に建設を開始し、2020年2月から本格観測を開始した。2022年末の時点では、LIGO-Virgo-KAGRAのコラボレーションによる次期観測目指して、各検出器の改良が進められている。
マイケルソン干渉計LIGOVIRGO干渉計も参照。

ホームページ:https://gwcenter.icrr.u-tokyo.ac.jp/

2023年01月10日更新

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    関連画像

    KAGRA大型低温重力波望遠鏡の概念図。(東京大学宇宙線研究所)
    https://www.nao.ac.jp/news/topics/2015/20151116-kagra.html
    KAGRAのトンネル内部。
    (東京大学宇宙線研究所)