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ベラルービン天文台

 

よみ方

べらるーびんてんもんだい

英 語

Vera C. Rubin Observatory

説 明

チリのセロ・パチョンでサーベイ観測専用のシモニーサーベイ望遠鏡を運用する天文台。渦巻銀河平坦な回転曲線の観測からダークマターが存在することを実証した女性天文学者ベラ・ルービン(Vera C. Rubin)にちなんで2020年に命名された。ルービン天文台と呼ばれることもあるが、正式名称は NSF-DOE Vera C. Rubin Observatory である。

シモニーサーベイ望遠鏡は口径8.4 m(有効口径は6.7 m)の広視野光学赤外線望遠鏡で、9.6平方度(満月45個分)という超広視野を 3.2 ギガピクセル(32億画素)のLSSTカメラでカバーする。このカメラは紫外線から近赤外線まで(波長320-1050 nm)をカバーする u,g,r,i,z,y の 6枚のフィルターを有し、イメージスケールは 0.2"/pixel である。天文台から見える全天の1バンドのサーベイを数夜で完了する。このサーベイを繰り返して10年間継続する。一夜の観測で得られるデータは20 TB(テラバイト)、1年では約7 PB(ペタバイト)に達する。この10年間のサーベイは、ルービン天文台の「時空間レガシーサーベイ(Legacy Survey of Space and Time: LSST)」と呼ばれる。2025年4月25日にファーストライトを成功させ2025年6月23日に初期画像を公開した。引き続き本格的なサーベイ観測を開始する予定である。

ルービン天文台による膨大なデータは天文学のあらゆるテーマに画期的なインパクトを与えると考えられているが、主要なテーマとしてホームページに書かれているのは以下のものである。
ダークマターの性質(The Nature of Dark Matter)
太陽系天体のカタログ化(Cataloging the Solar System)
変動する空の探査(Exploring the Changing Sky)
天の川銀河銀河系)の構造と誕生(Milky Way Structure & Formation)

当初大型シノプティック・サーベイ望遠鏡 (Large Synoptic Survey Telescope: LSST)計画と呼ばれていたルービン天文台計画は、2001年の decadal survey で取り上げられさまざまな予算で開発が進められてきた。2010年のdecadal survey で地上望遠鏡としては優先順位第1位となり、2014年にアメリカ国立科学財団(NSF)から完成に必要な予算が措置された。NSFの予算とLSSTコーポレーションが得た個人や財団からの寄付を基に、全米天文学大学連合(AURA)がLSSTの建設を統括した。観測サイトと望遠鏡の製作はアメリカ国立光学天文台(現在はアメリカ国立光学赤外線天文学研究所: NOIRLab)が、データセンターの構築は米国立スーパーコンピュータ応用研究所が行った。カメラは別途米国エネルギー省(DOE)の予算で、SLAC国立加速器研究所が製作した。2020年に天文台がベラ・ルービン天文台と命名されたのと同時に、LSSTという望遠鏡名称も、初期に多額の寄付をしたシモニー(Charles Simonyi )に因んでシモニーサーベイ望遠鏡となった。

ホームページ https://rubinobservatory.org/
画像閲覧用スカイビューワー https://skyviewer.app/


ベラ・ルービン天文台の紹介動画(英語)

https://www.youtube.com/embed/vBlFFEdfVVQ?si=MwXm1A1NNtVndv-R"


この動画は1100枚の画像を元に作られた。2つの銀河のクローズアップからはじまり、約1000万個の銀河へとズームアウトする。これらの銀河はルービン天文台の10年間の時空間レガシーサーベイで撮影される200億個の銀河の0.05%にすぎない。シモニー・サーベイ望遠鏡が視野の広さと分解能の高さをともに実現していることがよくわかる。
Credit: NSF-DOE Vera C. Rubin Observatory

https://www.youtube.com/embed/Gitit3LwQ20?si=itm5HlV3xblG0K9b"


ルービン天文台が公開した最初の画像のうち、おとめ座銀河団と三裂星雲(M20)と干潟星雲(M8)を含む天の川天域の画像を動画で示したもの。シモニー・サーベイ望遠鏡が視野の広さと分解能の高さをともに実現していることがよくわかる。
Credit: RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA | edited by Space.com's [Steve Spaleta]

https://www.youtube.com/embed/7gGltfcBUtQ?si=nGvNz-c87HGPxTn6"

2025年06月25日更新

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    関連画像

    画像をクリックすると拡大されます

    建設中のドームと建物
    https://rubin.canto.com/v/gallery/album/HDSNU?display=curatedView&viewIndex=2
    ドーム内に設置された望遠鏡架台と鏡筒
    https://rubin.canto.com/v/gallery/album/HDSNU?display=curatedView&viewIndex=2
    望遠鏡の模式図(左)と組み上がった実物(右)
    https://gallery.lsst.org/bp/#/
    サーベイ用のLSSTカメラのデザイン図(上)と完成取り付けの様子(下)
    https://gallery.lsst.org/bp/#/folder/2334405/
    https://rubinobservatory.org/gallery/
    初期画像撮影期間中のルービン天文台のドローンによる画像
    https://rubinobservatory.org/gallery/collections/main-gallery/ctl3mcmhrh7nje81pp794q3423
    Credit: RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA/T. Matsopoulos
    2025年6月23日に公開された初期画像の一つ。三裂星雲(M20)と干潟星雲(M8)を含む天の川領域。
    Skyviewerで見た初期画像の一つ。おとめ座銀河団の南部天域で、左上から右下に並ぶ3つの明るい銀河はNGC 4472(M49)、NGC 4365、MGC 4261である。
    画像閲覧用スカイビューワー 
    https://skyviewer.app/