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天問1号

 

よみ方

てんもんいちごう

英 語

Tianwen-1

説 明

中国(中華人民共和国)が2020年7月23日に打ち上げに成功した火星探査機。2011年にロシアに打ち上げを委託した火星探査機(蛍火1号)の打ち上げが失敗したため、火星着陸に成功した中国初の火星探査機となった。これで中国は、火星軟着陸の成功においては、旧ソ連とアメリカについで3番目、ローバーによる探査においてはアメリカについで2番目の国となった。

天問1号は周回機(オービター)と着陸台(ランダー)および探査車(ローバー)から構成されている。2021年2月に火星周回軌道に投入され、2021年5月15日にランダーとローバーの「祝融」(Zhurong)が火星北部低地のユートピア平原への着陸に成功した。活動を開始した祝融は、ほぼ1年間で累計2000メートル近く走行し、大量の貴重な科学探査データを取得した。2022年5月に冬に入り、砂嵐に襲われたためにスリープモード(休眠状態)に入った。2023年1月時点では休眠状態からの復帰ができていない。

探査機の名称は戦国時代の詩人屈原が、宇宙創造伝説などへの疑問をつづった詩『天問』に由来し、探査車の名称は中国神話の火を司る神「祝融」に由来するとのことである。

2024年05月06日更新

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    中国国家航天局(CNSA)が2021年6月11日に公開したリモートカメラによる探査車「祝融」と着陸台の自撮り写真。
    https://uchubiz.com/article/new12209/
    (出典:China News Service)
    探査車「祝融」が撮影した火星表面の画像
    https://www.afpbb.com/articles/-/3355966?pid=23517569