スピン角運動量
よみ方
すぴんかくうんどうりょう
英 語
spin angular momentum
説 明
古典論における自転角運動量に相当する量子力学的な角運動量の概念。電子やクォークなどの素粒子や、それらから構成される複合粒子であるハドロン、原子核、原子などが持つ量子力学的な自由度の1つであり、単にスピンとも呼ばれる。
スピン角運動量は、軌道角運動量とともに、粒子の全角運動量に寄与する。スピン角運動量の大きさは通常、 ℏ(換算プランク定数)を単位としてスピン量子数 s で表す。電子や陽子などのフェルミ粒子では s は半整数を取り、光子のようなボース粒子では整数を取る。
電子や陽子では s =±1/2 であり、許される状態が正負の2つがあるのでそれぞれ上向きスピンと下向きスピンということがある。これによってエネルギー準位が2つに分裂して超微細構造が発生する。たとえば、水素原子の陽子と電子のスピンが同じ方向を向いている場合は反対の方向を向いている場合に比べてわずかにエネルギー準位が高いので、2つの準位間の遷移によって波長21 cmの電波の放出や吸収が起きる(21cm線)。これは超微細構造線の一つである。スピン-スピン相互作用も参照。
2025年04月16日更新
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