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衝撃波

高

よみ方

しょうげきは

英 語

shock wave

説 明

流体にはその圧縮性にともなって粗密波である音波が生じる。音波は、その振幅が小さい間は線形の波として振る舞う。流体力学の方程式が持つ非線形性のために、振幅の大きな波の伝搬速度が速くなり、もともと正弦波的であってもその波形が切り立ってくる。そのような極限として、拡散を含まない理想流体では、物理量(密度、圧力、速度など)に飛びをもつ解(弱解)が生じる。これを衝撃波と呼ぶ。衝撃波は、一般に音速を超えた部分と超えない部分を含む遷音速流に見られる現象で、天体現象においてもさまざまな流れに見いだされる。

衝撃波と同じ速度で動く系で見て定常な解を考えると、流体の質量の保存則は1次元では

$$\frac{d\,(\rho v)}{d x}=0$$

のように書ける。ここで、$\rho$$v$ は流体の密度と速度を表す。衝撃波のところで、$\rho$$v$ は飛びを持つので、微分は定義できず、衝撃波領域は(狭い意味では)上の方程式を満足することはできない。しかし、この式を衝撃波の位置を含む狭い区間で積分すると、

$$\int_{衝撃波を含む小領域} \frac{d\,(\rho v)}{d x}dx=0\,\,\,\,$$

すなわち

$$\rho_1\,v_1-\rho_0\,v_0=0$$

となる。ここで、添え字の 0 は衝撃波前面の、1 は衝撃波後面の値を示し、この式は、流体の質量流束が衝撃波面の前後で保存することを意味する。衝撃波を含むような流れであっても、積分形まで広げて考えれば、上の微分方程式の解とみなすことができる。同様の関係式は運動方程式とエネルギー方程式からも得られ、それらを解くことで、衝撃波後面の物理量は、衝撃波前面の物理量で表すことができる。これはランキン-ユゴニオ条件と呼ばれている。

超新星爆発などの高エネルギー現象が起こると、強い衝撃波が発生し、宇宙空間を超音速で伝播する。宇宙で起きる衝撃波の例としては他にも、惑星間空間擾乱弧状衝撃波銀河衝撃波などがある。

2024年06月02日更新

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