オリオン星雲
よみ方
おりおんせいうん
英 語
Orion Nebula
説 明
オリオン座にある大きくて明るい星雲。三つ星の南に南北に並ぶ小三つ星(オリオンの剣に当たる)の中央に、4等星に相当する明るさで輝いており、肉眼でも認められる。古くから知られていてオリオン大星雲と呼ばれることも多い。M42(実際には北に隣接するM43も含まれる)またはNGC1976の名称もある輝線星雲で、より詳しくいえば電離水素領域である。したがって、当然電波の連続波でも明るく、電波源としてはオリオンAやW10と呼ばれる。距離は460パーセク(1500光年)で、見かけの大きさ35分角程度、実サイズ5パーセク(15光年)程度である。電離水素領域として特別に巨大というわけではないが、距離が近いので天球上で大きく明るく見えている。
中心には5等星のオリオン座θ1があり、A,B,C,Dの4星からなっている。これら4星はいずれも高温の若い恒星で、15秒角程度の間隔で不等辺四辺形を形作っており、トラペジウムと呼ばれる。そのすぐ南東側の明るいバー(電離境界面をほぼ横から見たブライト・リム)と呼ばれる線状構造、同じく北東側の暗黒湾、そしてそれにつながりM43を隔てる大きなダークレーンなどが特に目立つ構造である。
多くの電離水素領域と同様、オリオン星雲は若い散開星団(オリオン星雲星団)を伴っており、特にその中心部をトラペジウム星団という場合もある。オリオン星雲星団は吸収雲に埋まって赤外線観測でのみ見えてくるものも合わせて、全体で星数3,500個、総質量2,000太陽質量ほどである。年齢は非常に若く、100万年以下とされるが、個々の星の年齢には10万年以下から200万年程度までの幅が見られる。この星団は、もっと大きな恒星のグループ、オリオンOB1アソシエーションの一部である。これは、年齢1,200万年の1a、年齢800万年の1b、年齢600万年の1c、そして最も新しい1dのサブグループに大別され、1dがオリオン星雲星団である。
このオリオンOB1アソシエーションを生んできたのがオリオン分子雲で、オリオン星雲の少し北から南南東方向に、幅1.5度長さ10度以上にわたって伸びており、質量は20万太陽質量もある。この分子雲は現在あちこちで星を生みつつあるが、オリオン星雲のすぐ背後の部分(OMC-1)では星形成が特に活発である。誕生しつつある星々は厚い吸収雲に埋もれているために可視光では見えないものが多いが、赤外線ではその姿を現わす(オリオンBN-KL天体)。
https://youtu.be/embed/xCFg5udYbAg
オリオン星雲内部のCG(CREDITS: NASA, ESA, F. Summers, G. Bacon, Z. Levay, J. DePasquale, L. Hustak, L. Frattare, and M. Robberto (STScI), R. Hurt (Caltech/IPAC), M. Kornmesser (ESA), and A. Fujii; Acknowledgement: R. Gendler)
2024年11月11日更新
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