多天体分光器
よみ方
たてんたいぶんこうき
英 語
multi-object spectrograph
説 明
一度に多数の天体を分光できるように工夫した分光器。分光だけでなく撮像観測機能も備えたものは多天体分光撮像装置などとも呼ばれる。望遠鏡の焦点面に天体位置に合わせた多数のスリットを通して分光するタイプ(マルチスリット型)と、天体位置に光ファイバーの入射口を置いて光ファイバーで分光器スリットまで光を導くタイプ(ファイバーフィード型)がある。マルチスリット型の多天体分光器としては、すばる望遠鏡のFOCAS、ケック望遠鏡のDEIMOS、VLTのVIMOSなどがある。ファイバーフィード型には、スローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)の多天体分光器、アングロオーストラリア望遠鏡の2dF、すばる望遠鏡のFMOS、中国国家天文台のLAMOST、UKシュミット望遠鏡の6dFとその後継機TAIPANなどがある。
マルチスリット型は焦点に置くマルチスリット以外は通常の分光器と同じであり、効率やスペクトル測定精度は分光器そのものによって決まる。また、観測視野も分光器の視野に限定されるため、一度に観測できる天体数は数10から100個程度である。これに対し、ファイバーフィード型は、焦点面から分光器に至るまでの光ファイバー部分で効率と測定精度が左右され、一般にマルチスリット型より低効率である。しかし、観測視野は望遠鏡視野によって決まり、分光器視野よりはるかに広いため、一度に観測できる天体数はマルチスリット型より1桁以上多く、数100から1000個程度まで可能となる。
2024年07月02日更新
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