形態分類
よみ方
けいたいぶんるい
英 語
morphological classification
説 明
見かけの形状に基づいて銀河を分類する手法。銀河研究の初期から、写真乾板に写った銀河の画像を熟練した天文学者がルーペなどで詳細に観察して分類体系を提案してきた。この手法による形態分類が行われた銀河は1万個に満たない。
1930年代にハッブルが提案した音叉図に基づくハッブル分類が最も有名で、今日でも広く使われている(図1)。1950年代の終わりに、ドゥ・ボークルールが渦巻銀河の渦巻腕の多様性を取り込んでハッブル分類を3次元的に表現したドゥ・ボークルール分類(改訂ハッブル分類とも呼ばれる)を提案した。ハッブル分類の改訂は、楕円銀河に箱型と円盤型という2種類があることが分かった1980年代後半以降にも提案されている(図2)。また、1976年にはデイビッド・ダンラップ天文台のシドニー・バンデンバーグが、銀河団中に貧血銀河が見られることから、レンズ状銀河(S0銀河)の位置づけを見直す改定DDO分類を提案した(図3)。
ハッブル分類とは少し異なる立場からの形態分類として、シドニー・バンデンバーグによるDDO分類、ヤーキス天文台のモルガンによるヤーキス分類などがある。1980年代以降、矮小銀河の研究が進み、形態分類には銀河の絶対等級が重要な要素の1つであるとの理解が得られてきた(図4)。
シュミット望遠鏡によるサーベイ写真乾板のディジタル化や、CCDを用いた大規模サーベイが可能になった近年では、何万個もの銀河のディジタル画像が利用できるようになった。そこで、人間がそれらを眼視検査するのではなく、銀河画像から抽出した定量的なパラメータで、従来の形態分類に相当する体系をつくるさまざまな研究がおこなわれている(図5)。
形態分類とは別に、銀河を見る角度による分類として、扁平な銀河円盤(ディスク)を持つ渦巻銀河とレンズ状銀河では、銀河円盤をほぼ真横から(円盤の垂線に垂直で円盤が最も薄く見える方向から)見る場合をエッジオン(edge-on:横向き)、それにほぼ垂直で銀河円盤を正面から見る場合をフェイスオン(face-on:正面向き)と呼ぶ。このように見えている銀河をそれぞれエッジオン銀河、フェイスオン銀河と呼ぶことがある(図6)。ただし、定量的な定義ではないのでことに注意する。
2020年08月26日更新
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