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マージャー(銀河の)

高

よみ方

まーじゃーぎんがの

英 語

merger

説 明

銀河同士が合体した痕跡を残している銀河のこと。合体銀河とも言う。マージャーはまた、銀河同士が合体することを指すこともある。相互作用の際の強い潮汐力によって星やガスがはぎ取られてできる尾(テイル)状の構造などがしばしば見られる。
銀河が密集し、かつ銀河間の相対速度がそれほど大きくない、銀河群のような環境で最も頻繁に起こると考えられている。また、宇宙が小さかったころには現在よりマージャーの頻度は高かった。マージャーは銀河が質量を増やして成長していくプロセスに重要な役割を果たしたと考えられている。ほぼ同じ程度の質量の二つの銀河の合体をメジャーマージャー、自分の質量の1/4程度以下の小さな銀河との合体をマイナーマージャーと呼ぶ。
合体銀河では、角運動量を失ったガスが中心部に落ち込み、スターバーストを引き起こすことが多いと考えられている。このようなガスを持つ銀河の合体をウェット(濡れた)マージャーと呼ぶことがある。一方、ガスを持たない銀河同士が合体する場合はスターバースト現象は起こらず、ドライ(乾いた)マージャーと呼ばれる。銀河合体も参照。

2021年06月28日更新

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    マージャーの典型例の一つNGC7252。左は地上望遠鏡で撮影した写真。右は中心部をハッブル宇宙望遠鏡で撮影した画像。渦巻銀河のようなきれいな渦巻き腕が見えるが、そのサイズは銀河全体の1/20しかない。出典 ハッブル宇宙望遠鏡のサイト。
    https://hubblesite.org/contents/media/images/1993/11/100-Image.html
    NHKのハイビジョンカメラをすばる望遠鏡に取り付けて撮影された、合体銀河NGC4567とNGC4568のペア。(クレジット:国立天文台・ハワイ観測所)
    https://www.naoj.org/Gallery/hdtv/ngc4567_4568.jpg