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月の位相

小

よみ方

つきのいそう

英 語

lunar phase

説 明

新月から次の新月に至る月の満ち欠けの様相のこと。直前の新月からの経過時間を日の単位で表した数値を月齢といい、0 から約29.5までの値をとる。月齢のことを月の位相という場合もある。月と太陽の黄経の差が0°、90°、180°、270°になるときの月の名称が、それぞれ、新月(しんげつ;月齢0前後)、上弦(じょうげん;月齢7前後)、満月(まんげつ;月齢15前後)、下弦(かげん;月齢22前後)である。上弦と下弦は一般には半月と呼ばれることが多い。これ以外にも月の位相に応じて日本ではさまざまな名前がつけられている。三日月(みかづき;月齢2前後)、待宵月(まちよいづき;月齢14前後)、十五夜(じゅうごや;月齢15前後)、十六夜(いざよい;月齢16前後)、立待月(たちまちづき;月齢17前後)などがある。朔望も参照。
月は地球との潮汐力のために、自転周期と公転周期が同期した潮汐ロックの状態にあり、常に同じ面(表)を地球に向けて公転している。月の公転軌道が楕円軌道であることと、月の公転面に対して地球と月の赤道が傾いているために、見かけの秤動が起きて地球から観測できる表面は50%を越える。
2019年5月1日に元号が「平成」から「令和」に変わった。令和は、九州太宰府にあった大伴旅人の邸宅に集まった人々が読んだ歌(梅花の歌三十二首)を収めた、万葉集巻五の序文の中の以下の一文に由来すると言われている。
「初春の令月(れいげつ)にして、気(き)淑(よ)く風(かぜ)和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香を薫(かおら)す。」
この日は天平二年正月十三日で、西暦に直すと730年2月4日である。この日二十時の月齢は12.0で、満月に近い月であった。
なお、国立天文台の「日本の暦日データベース」サイトで、西暦と和暦の変換が行える。
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/caldb.cgi


月の公転と見え方(月の位相)。宇宙空間で地球を上から見た図(左)と、地球上のピンク色の矢印の位置から見た月の満ち欠け(右)を同時に確認できます。 「上弦の月」と「下弦の月」は広く「半月」と呼ばれます。(製作「CGムービー人理科」)
https://youtu.be/dQ0PbfYhH_s


地球の自転と太陽の動き(前半)と地球の自転と月の動き(後半)。 後半ではどのような形の月がどの方向に見えるかもわかる。(製作「CGムービー人理科」)
https://youtu.be/8WjwJ-Vlb-4


2022年の元日から大晦日までの「月の満ち欠け」の様子を1時間間隔で再現した約5分間の動画。月までの距離(中央の横線)の単位は地球の直径(28と32はそれぞれ約356,400 kmと406,700 km に相当する)。左下が、秤動によって地球から見えている月の面が周期的に変わる様子。
Video credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
Data visualization by Ernie Wright (USRA)
Producer & Editor – David Ladd (AIMM)
Music provided by Universal Production Music: “Build the Future”- Alexander Hitchens
NASAの元サイト https://svs.gsfc.nasa.gov/4955

https://www.youtube.com/embed/c4Xky6tlFyY

2023年10月23日更新

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    *月の位相の概念図
    岡村定矩「時と暦」、シリーズ現代の天文学 第1巻、岡村・池内・海部・佐藤・永原編『人類の住む宇宙』第2版 7章 図7.15(日本評論社)
    月の位相(出典 NASAゴダード宇宙飛行センター)
    https://svs.gsfc.nasa.gov/4955 にある画像をレイアウト。