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イラジエーション

 

よみ方

いらじえーしょん

英 語

irradiation

説 明

写真乾板や写真フィルムなどの写真乳剤の表面に入射した光が乳剤層中で散乱され、周辺の粒子を感光させて、あたかも写真濃度(黒み)がしみ出したかのように見える現象。天体写真では、暗い星ではあまり目立たないが、明るい星で中心が最高濃度(飽和濃度:Dmax)に達したものは、明るくなるにつれイラジーションの効果で星像の大きさが大きくなる。このことを利用して写真乾板上の星像の大きさ(と濃度)を測定して星の等級を測定する装置がアイリスフォトメータである。
CCDカメラのようなデジタルカメラでは、ピークとなるピクセル値が飽和レベルを大きく超えない限り、恒星のプロファイルの半値全幅(FWHM)は星の明るさによらず一定である。ピーク値が飽和レベルを大きく超えるときには画素から電荷があふれ出して(ブルーミングと呼ぶ)画像中に直線パターンを作る。特性曲線も参照。

2022年02月15日更新

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    * イラジエーションのメカニズムと星像に与える影響。
    左図の出典 岡村定矩「天体写真測光」現代天文学講座11巻『宇宙の観測Ⅰ』(恒星社)1981年
    * 写真乾板の特性曲線。
    出典 岡村定矩「天体写真測光」現代天文学講座11巻『宇宙の観測Ⅰ』(恒星社)1981年