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銀河進化モデル

 

よみ方

ぎんがしんかもでる

英 語

galaxy evolution model

説 明

銀河進化を記述するモデル。その物理的基礎となるのは、原始密度ゆらぎから生まれたダークマターハローが集合合体によって成長するという、階層的集団化モデルである。最初のダークマターハローは星を含んでいなかったが、流入したガスが冷えて星生成が起こり、星が次第に増加したと考えられている。以上の描像は1970年代に提案され、その後、観測技術やコンピュータ技術の発展を受けて精密化されてきている。超新星爆発活動銀河核によるガスの加熱など、新しい物理過程も追加された。
銀河進化モデルから銀河の光度や色、スペクトルを計算する際は、かつては銀河系天の川銀河)と大マゼラン雲小マゼラン雲内の星団のスペクトル(SED)をライブラリとする種族合成法という手法が用いられたが、近年はコンピュータで計算されたスペクトルのライブラリを用いる進化的種族合成法が用いられている。観測技術の進歩により紫外線から赤外線にわたる銀河のスペクトルが観測できるようになり、大きな赤方偏移を受けた宇宙初期の銀河から現在の銀河まで、星生成史を銀河進化モデルによって推定することが出来るようになった。銀河進化モデルにはなお、観測との矛盾や物理的に不明確な部分が残っているが、この分野の研究は現在急速に発展している。
銀河進化のある側面にだけ注目した単純なモデルも用いられることがある。たとえば、一定質量のガスが単純な規則にしたがって星に変換されていくというクローズドボックスモデル(ワンゾーンモデルともいう)というモデルは、非現実的ではあるが、星生成史やそれに伴う化学進化を考察するには有効である(こうしたモデルのほうが歴史は古い)。

2020年02月26日更新

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