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ユークリッド衛星

 

よみ方

ゆーくりっどえいせい

英 語

Euclid Satellite

説 明

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)とユークリッド・コンソーシャムが共同で開発した広域サーベイ観測用の衛星。宇宙膨張の歴史と宇宙の大規模構造の形成過程を詳しく調べ、ダークマターダークエネルギーの性質を解明することを目的としている。広視野赤外線サーベイ望遠鏡であるローマン宇宙望遠鏡(旧称:WFIRST)と同じく、ラグランジュ点L2を周回するハロー軌道で観測を行う。

ユークリッド衛星は口径1.2 mの望遠鏡で、可視光(550-900 nm)と近赤外線(900-2000 nm)で全天の1/3以上にあたる約15000平方度を6年間でカバーし、赤方偏移 z~2(約100億光年昔)までの10億個以上の銀河を観測しその空間分布を描き出す(宇宙地図を作成する)。この広域サーベイ(Euclid Wide Survey:EWS)の限界等級は、可視光で26.2等、近赤外で約24.5等である。EWSに加えて、さらに暗い天体まで観測するユークリッド・ディープ・フィールド計画もある。

ユークリッド衛星の観測装置は二つである。可視光カメラ(visible-light camera:VIS)は0.7x0.7度の視野を36個の4kx4k CCD素子でカバーする。限られた時間でできるだけ暗い天体まで捉えるために、観測波長域550-900 nmを一つのバンドとした「白黒画像」を撮影する(限界等級25等)。空間分解能(解像度)が0.1秒と極めて高いので、弱い重力レンズ効果の観測にも威力を発揮する。EWSと連携する可視光の多波長でのサーベイ(白黒画像に色をつける)観測は、すばる望遠鏡を含む複数の地上望遠鏡で行われる。近赤外分光測光器(near-infrared spectrometer and photometer: NISP)は、VISとほぼ同じ視野を16個の2kx2k近赤外線素子でカバーする。観測波長帯を三つのバンド、Y (900-1192 nm)、J (1192-1544 nm)、H (1544-2000 nm)で撮像観測するほか、グリズムによる波長1100-2000 nmの低分散スペクトル(波長分解能 R=250)を取得することもできる。空間分解能は0.3秒である。

ユークリッド衛星は日本時間2023年7月2日(アメリカ時間7月1日)、アメリカのフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から米スペースX社の「ファルコン9」ロケットで打ち上げられた。
ホームページ: https://www.euclid-ec.org/
ESAのページ:https://sci.esa.int/web/euclid/-/42266-summary

 

2023年09月20日更新

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    Euclid衛星の想像図。(クレジット:ESA)
    https://www.euclid-ec.org/
    図1 ユークリッド衛星の打ち上げの様子
    https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/Euclid/ESA_s_Euclid_lifts_off_on_quest_to_unravel_the_cosmic_mystery_of_dark_matter_and_dark_energy