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アリスタルコス

 

よみ方

ありすたるこす

英 語

Aristarchus of Samos

説 明

アリスタルコス(Aristarchus; c.BC310 – BC230)はサモス島に生まれた古代ギリシアの数学および天文学者。太陽中心説(地動説)の先駆者とされ、世界で最初に月、太陽の大きさと距離を求めようとした。
アリスタルコスの太陽中心説は、アルキメデスやプルタルコスによって断片的に紹介されている。「天球の中心に太陽があり、それは不動で、地球が太陽をめぐっており、恒星の天球までの距離はとてつもなく遠い」という説を述べた書物を出版した、とアルキメデスは紹介し、それは単に数学的な話だとした。またプルタルコスは、恒星の日周運動は地球自転によると信じていたヘラクレイデスの影響をアリスタルコスが受けているという。地動説を唱えた最初の人と考えられているが、当時その説はほとんど支持されなかった。
アリスタルコスの著作として残っている月および太陽の大きさと距離の決定では、太陽中心説は採用されていないが、たいへん巧妙な手法を用いており、その原理は明快である。すなわち、月がちょうど真半分に見えるとき、月・太陽間の離角は約87度となるので、直角三角形の幾何学から月・太陽の距離の比は約20倍となると結論した。現在の値からのずれが大きいのは測定技術が稚拙であったためで、原理はまったく正しい。また彼は、月と太陽は見かけの大きさがほぼ等しいことから、両者の実際の直径は各々の地球からの距離に比例するはずだと指摘、その距離の比から太陽は月よりも20倍大きいという結論も論理的に導いている。

2024年03月20日更新

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    関連画像

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    テサロニキのアリストテレス大学にあるアリスタルコスの像
    https://en.wikipedia.org/wiki/Aristarchus_of_Samos
    アリスタルコスの著書
    アリスタルコスの著書(10世紀頃の写本)にある図。この図は、月食の時に、太陽・地球・月の幾何学的配置と月食の影の幅を利用して、3者の大きさと距離の比を求める方法を示している。
    https://www.ancient.eu/image/1084/theories-of-aristarchus/