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空中望遠鏡

 

よみ方

くうちゅうぼうえんきょう

英 語

aerial telescope

説 明

屈折望遠鏡の一種。対物レンズを空中高く吊し、それを地上の観察者が手元に置いた接眼レンズでみる構造になったもの。接眼レンズ、および、光軸に対して横からの迷光を遮断するための遮光板も対物レンズと同じ支柱からぶら下げているが、鏡筒がないのが標準的な構造である。

初期の望遠鏡のレンズには単レンズが用いられており、焦点距離が短いと色収差が顕著に表れるという問題があった。これを解決するために口径に比べて極端に長焦点のレンズを用いることが考えられ、それを実現したのが空中望遠鏡である。歴史的にはヘベリウスが作った望遠鏡が有名。
2つの異なる屈折率のガラスを組み合わせることで色収差を軽減する色消しレンズが18世紀に発明されると、取扱の不便さから利用されなくなった。
なお、空気望遠鏡と呼ぶこともあるが、これは英語でのaerial telescopeに対する誤訳と考えられる。

2024年07月10日更新

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    ヘべリウスの1673年の著書「天文機械(Machina coelestis)」に掲載された巨大な空中望遠鏡。 Johannes Hevelius, from his book Machina coelestis (first part), published in 1673
    http://en.wikipedia.org/wiki/File:Telescope_140_foot_Johann_Hevelius.jpg