天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

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エネルギーフラックス(放射の) energy flux

放射が運ぶエネルギー流束量を表す量である。具体的には、ある微小面素を通過する放射が運ぶエネルギー量を、単位面積、単位時間あたりで換算したものとして定義される。

温度ゆらぎ temperature fluctuations

宇宙マイクロ波背景放射の放射温度はほとんど等方的(全天でほぼ同じ温度)であるが、場所(方向)ごとにわずかに高低があってゆらいでいる。これを温度ゆらぎという。放射温度の等方性は宇宙が大きなスケールで一様等方であることを示す[…]

ガウスゆらぎ Gaussian fluctuations

ゆらぎの統計的性質には無数の可能性があるが、そのうち特に簡単かつ一般的に現れやすい一群のゆらぎが、ガウスゆらぎと呼ばれる種類のものである。1変数のゆらぎに対しては、その分布関数がよく知られたガウス関数で表されるものがガウ[…]

共鳴蛍光 resonance fluorescence

吸収した光と同じ波長で原子や分子から放出される蛍光(シンチレーション光)。吸収した光により電子が高いエネルギー準位に移り、その後もとの準位に戻るときに吸収したエネルギーと同じエネルギーの光子を放出する。蛍光放射も参照。

蛍光 fluorescence

励起状態にある物質は、電磁波を放出して、やがて基底状態にもどる。このときに放射される電磁波を蛍光という。励起が終わると直ちに発光が終わるものを蛍光、しばらくの間発光が続くものを燐(リン)光と呼んで区別することもある。シン[…]

蛍光X線 fluorescent X-ray

X線を照射された原子から二次的に放出されるX線領域の電磁波。複数の電子を有する原子にX線が照射され、X線がK殻の電子をはじき飛ばし、穴のあいたK殻に外殻のL殻にある電子が落ちてきてそれらの準位のエネルギー差に相当する光子[…]

蛍光放射 fluorescent emission

物体に光を当てたとき、吸収された光の波長と異なる波長で発光する現象。天文学においては、紫外線やX線を吸収して励起状態となった分子や原子またはイオンがより下の準位に遷移する際に発する輝線放射を指す。準位間のエネルギー差によ[…]

GOES X線クラス GOES X-ray Class

静止衛星軌道で運用される米国の環境監視衛星GOES(Geostationary Operational Environmental Satellites)によって測定される太陽の軟X線の放射エネルギー流束(フラックス)の[…]

磁束管 flux tube

プラズマ中で磁力線が集まって束になっている(局所的には)円柱状の領域。その内部では磁場が強く、外部では弱くなっている場合に磁束管として考える。重力下にあるプラズマ中の磁束管には磁気浮力が働き、パーカー不安定によって浮上す[…]

質量ゆらぎ mass fluctuations

宇宙の大規模構造における質量ゆらぎとは、ある大きさの体積に含まれる質量が場所ごとにゆらいでいることを表す。ある固定した半径の球を宇宙の至るところに考え、その中に含まれる質量の分散を用いて定量化される。質量ゆらぎの分散とそ[…]

大気蛍光法 atmospheric fluorescence method

空気シャワー中の高エネルギー荷電粒子が大気中の窒素分子を励起あるいは電離すると、励起された窒素分子やイオンは紫外から青色のシンチレーション光(蛍光)を放出して基底状態に戻る。このシンチレーション光を望遠鏡により集光し、像[…]

太陽風 solar wind

太陽から流出する超音速のプラズマ流。太陽と逆方向に延びた彗星の尾のイオンテイルを説明するために、1950年頃ドイツのビアマン(L. Biermann)により太陽から吹き出す高速の荷電粒子流の存在が推察された。理論的にその[…]

太陽フラックス単位 solar flux unit(SFU)

太陽の放射する電波の放射エネルギー流束(エネルギーフラックス)を測る際の単位で、 1 SFU = 10-22 W m-2 Hz-1 に相当する。たとえば、静穏時の太陽の17 GHz帯でのフラックスは約600 SFUで[…]

断熱ゆらぎ adiabatic fluctuations

宇宙初期につくられる初期ゆらぎの種類の一種。断熱ゆらぎとは、異なる成分の空間的な密度ゆらぎがすべて一致するものをいう。したがって、たとえばある成分が最大密度を持つ場所では、他の成分もすべて最大密度を持っている。インフレー[…]

超流動コア superfluid core

中性子星内部のコアの領域では、密度が非常に高いために中性子が超流動状態になっていると考えられている。これを超流動コアと呼ぶ。 よく知られている超流動は、スピン1/2のフェルミ粒子が対をつくって合成スピン0となると、[…]

等曲率ゆらぎ isocurvature fluctuations

宇宙初期につくられる初期ゆらぎの種類の一種。等曲率ゆらぎとは、宇宙のエネルギー成分のうち、ある2種類の成分が逆の空間的ゆらぎを持ち、そのエネルギーの和に空間的なゆらぎがないものをいう。空間の曲率ゆらぎはエネルギー密度のゆ[…]

ボウエン蛍光機構 Bowen fluorescence

散光星雲で見られる電離ガスからの強い輝線 放射をボウエン(I.S. Bowen)は次のように説明した。 高温の早期型星や降着円盤でHeⅡから放射される波長30.4nmの紫外線により、周囲のガスのCⅢ、NⅢやOⅢイオンが[…]

放射流束 radiative flux

単位面積を単位時間あたりに通過して放射されるエネルギーの量のこと。放射エネルギー流束ともいう。 放射を放つ面の法線方向からの角度をθ、法線の周りの角度を Φ とする極座標を考える。(θ,Φ) 方向の放射強度を Iν ([…]