天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

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拡散近似 diffusion approximation

光学的に厚い媒質中を光子が進む過程を拡散過程と近似し、媒質中の放射エネルギー流束を評価する近似法。光学的に厚い媒質中を光子が移動する場合、光子は媒質中をまっすぐに進むことができず、吸収・再放射・拡散を何度も繰り返し、媒質[…]

拡散係数 diffusion constant

衝突が確率的に起こるとき、その粒子の運動は拡散過程で表現される。 一般に粒子の速度を $v$ とすると、 平均自由行程 $\lambda$ に対応する拡散係数 $D$ は と書ける。 磁場 $B$ 中の宇宙線粒[…]

核融合 nuclear fusion

軽い原子核同士が融合して、重い元素が生成される核反応。天文学では熱核融合反応、あるいは核燃焼という言い方もしばしばなされる。陽子同士が融合して重水素が生成される反応や、重水素同士が融合してヘリウム3を生成する反応、3つの[…]

高アルミニウムカルシウム含有物 Calcium-aluminium-rich inclusion

CAIを参照。

コンフュージョン限界 confusion limit

多数の天体が存在する天域を観測する際、検出器の角分解能が十分高くないと、隣接する複数の天体を区別することができなくなる。これを天体検出のコンフュージョン限界という。すなわち、検出器の感度を上げる場合には、同時に角分解能を[…]

最小錯乱円 minimum confusion circle

収差のある光学系での点像分布関数は焦点の近くではほぼ円形で、光軸上の位置によって分布半径が変わる。その半径が最小となる位置の円を最小錯乱円と呼ぶ。

CAI calcium-aluminum-rich inclusion

炭素質隕石に含まれる、アルミニウムとカルシウムに富む白色の包有物。Calcium-aluminium-rich inclusionの略語で、高アルミニウムカルシウム含有物とも呼ぶ。高温の原始太陽系円盤のガスから最初に凝縮[…]

衝撃波加速 (diffusive)shock acceleration

超新星爆発時に形成される爆風は周囲の星間物質を圧縮して、衝撃波面を形成する。荷電粒子は磁場との散乱により衝撃波の上流と下流を往復するうち統計的にエネルギーが増加していく。このような加速過程を衝撃波加速(あるいは統計加速)[…]

トゥーシ al-Tusi, Nasir al-Din

ペルシャの数学者・天文学者(1201-74)。ユーヌスから天文学を学んだとされる。1259年にマラガ(スペイン南部)に天文台を建設して天文観測を行ない、イルハン表と呼ばれる天文表を作成した(1272頃)。トゥーシ時代のマ[…]

熱核融合反応 thermonuclear fusion

高温で起きる核融合反応。天文学では一般に星の中心核や、高エネルギー天体現象に伴う高温で起きる核融合反応を指す。

パウリの排他原理 Pauli exclusion principle

スピンが半奇数の粒子であるフェルミ粒子は1つの量子状態には1個しか存在しえないという原理。パウリの排他律とも言う。電子や陽子はフェルミ粒子なので、この原理に従う。パウリ(W. Pauli)が提唱したため、この名で呼ばれる[…]

ポインティング-ロバートソン効果 Poynting-Robertson effect

太陽の重力を受けて太陽の周りを公転する粒子は、重力のほかに、太陽からの放射を吸収または散乱して運動量を受け取る。これを放射圧または光圧と呼ぶ。重力は粒子の質量に比例するのに対して放射圧は表面積に比例するので、小さな粒子で[…]

両極性拡散 ambipolar diffusion

天文学では主に、中性水素雲や星間分子雲などの弱電離のガス雲から磁束が抜けることを指す。 ほぼ中性の星間雲でも宇宙線の影響でわずかに電離しており、荷電粒子が電磁場と相互作用する。中性ガス粒子が荷電粒子と大きな頻度で衝突す[…]