天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

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アストログラフ(天体写真儀) astrograph

眼視ではなく専ら写真撮影を目的とする天体望遠鏡。天体の位置測定を主目的とするものは長焦点であるため視野はさほど広くない。サーベイ観測を目的とするものは、観測効率の観点から、できるだけ口径は大きく視野は広い方がよい。193[…]

圧電効果 piezoelectric effect

物質に圧力をかけるとそれに比例した電圧が生じる効果をいい、ピエゾ効果ともいう。逆に電圧をかけると機械的な変形(応力)を受ける効果を逆圧電効果というが、両方の現象を合わせて圧電効果ともいう。圧電効果を起こす物質のことを圧電[…]

宇宙論的歪み cosmic shear

弱い重力レンズ効果の別名。英語のままコスミックシアーということも多い。遠方にある銀河から放出された光は、宇宙の大規模構造による重力レンズ現象により経路が曲げられて本来の銀河の形状とはわずかに違う形状になる。そのため、多数[…]

エバーシェッド流 Evershed flow

太陽黒点の半暗部にある水平面方向の筋状構造に沿った外向きの流れ。光球で観測される吸収線のドップラー速度観測により、インドの研究者エバーシェッド(J. Evershed)が1909年に発見した。この流れの起点は黒点暗部側に[…]

殻燃焼 shell burning

恒星の中心核周辺で、殻状の層で起こる核融合反応(燃焼も参照)。主系列段階で中心部の水素を使い果たした小質量星ではヘリウム中心核の周辺の殻(シェル)状の領域で水素の核融合が起こり、赤色巨星に進化する。また、漸近巨星分枝段階[…]

殻フラッシュ shell flash

ヘリウム殻フラッシュを参照。

空中望遠鏡 aerial telescope

屈折望遠鏡の一種。対物レンズを空中高く吊し、それを地上の観察者が手元に置いた接眼レンズでみる構造になったもの。接眼レンズ、および、光軸に対して横からの迷光を遮断するための遮光板も対物レンズと同じ支柱からぶら下げているが、[…]

K殻電離 K shell ionization

原子構造で、原子核に最も近くエネルギー準位が最も低い(結合エネルギーが最も高い)電子軌道をK殻と呼ぶ。ここには電子が2個まで存在することができる。この電子が原子から離れ、電離が進むこと。天文学では、鉄に対して呼ぶことが多[…]

コスミックシアー cosmic shear

宇宙論的歪みを参照。

ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡 James Webb Space Telescope(JWST)

宇宙最初の星や銀河の形成、宇宙の再電離、太陽系外惑星の形成や生命の起源などの解明を目指すアメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙天文台。ハッブル宇宙望遠鏡の後継機。 対角が1.3 mの六角形をした軽量化ベリリウム製のセグメ[…]

シェル構造 shell structure

一部の楕円銀河に見られる同心円状の貝殻のような構造で、リップル構造ともいう。その表面輝度は銀河本体よりもずっと低い。楕円銀河に矮小銀河が落ち込んで潮汐力によって壊され、細長く引き伸ばされてできたと考えられている。もしそう[…]

シェルバーニング shell burning

殻燃焼を参照。

嫦娥計画  Chang'e program

中国(中華人民共和国)が行っている一連の月探査計画(Chinese Lunar Exploration Program:CLEP)。嫦娥(じょうが:英語ではChang'e)とは中国の神話に登場する月に住む女性の名称で、「[…]

スーパーシェル supershell

大質量星を伴う星団の形成領域において、多数の超新星爆発や星風により形成されると考えられる高温低密度ガス領域(スーパーバブル)の外側にある、中性水素原子(HⅠ)21cm 線やCO分子線で見られる球殻状の領域のこと。 スー[…]

スペックル speckle

大気ゆらぎにより星からの波面が乱され、望遠鏡を通して得られる星像は大きく拡大して見ると細かい濃淡のあるシミのような構造に広がる。この像の見え方は大気上層部や地表付近で、気温や湿度が一定とみなせる空気の塊が風によって流れる[…]

星団 star cluster

互いの重力によりまとまった構造を持つ星の集団。 星の数の空間密度が低く、まばらな集団となったものは散開星団(open cluster)と呼ばれ、年齢が数十億年程度以下の若い星が多い。 大きな分子雲から星団が形成されると考[…]

タリー-フィッシャー関係 Tully-Fisher relation

渦巻銀河の光度 L と回転速度 V の間に見られる L ∝ V n という形の相関関係で、銀河のスケーリング則の1つ。渦巻銀河に対するもので、1977年にタリー(B.Tully)とフィッシャー(J.Fisher)によって[…]

ハッブル宇宙望遠鏡 Hubble Space Telescope(HST)

アメリカ航空宇宙局(NASA)がヨーロッパ宇宙機関(ESA)との協力の下で開発し運用する口径2.4 mの宇宙望遠鏡。1990年4月24日にスペースシャトル「ディスカバリー」によって打ち上げられ、高度約600 kmを約10[…]

羊飼い衛星 shepherd satellite

細い惑星リングの近傍の軌道上にあり、そのリングの形状を維持する働きをしていると考えられる衛星のことを、羊が群れから逃げ出さないように番をする羊飼いになぞらえて、羊飼い衛星と呼ぶ。土星の F リングにおける衛星プロメテウス[…]

プラズマシート plasma sheet

地球磁気圏の尾部(太陽と反対側に伸びた部分)にある構造。磁場が弱くなっており、高温のプラズマで満たされている。