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サイモンズ天文台

 

よみ方

さいもんずてんもんだい

英 語

Simons Observatory

説 明

宇宙の起源と初期進化に関わる基本的な物理プロセスの解明に向けて、国際的な宇宙論研究プロジェクトがチリ北部のアタカマ砂漠、標高5200 mの高地に建設中の電波望遠鏡を擁する天文台。宇宙マイクロ波背景放射(CMB)を観測して三世代ニュートリノの質量の和(あるいは上限値)の決定、軽い素粒子の探査、ダークエネルギーの性質、銀河間物質銀河団の理解の進展、銀河形成におけるフィードバックの役割などの研究を目指す。

プロジェクトの中核となるのはアメリカのサイモンズ財団とアメリカ国立科学財団(NSF)、ペンシルバニア大学、プリンストン大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校、カリフォルニア大学バークレー校、ローレンスバークレー国立研究所の6機関及び英国と日本の研究グループ。全体ではこれらを含む世界の50以上の研究機関から集まった350人以上の研究者と技術者からなる。設置場所を提供するチリもさまざまな支援をしている。

サイモンズ天文台は、予備的な装置として建設された既存のアタカマ宇宙論望遠鏡(Atacama Cosmology Telescope: ACT)とサイモンズアレイ(The Simons Array)の経験を踏まえて、CMBを観測する新しい電波望遠鏡、すなわち3台の小口径望遠鏡(Small Aperture Telescopes: SAT)と口径6 mの大口径望遠鏡(Large Aperture Telescope: LAT)からなる。LATは2025年3月にファーストライトに成功した。近い将来さらに2台のSATが英国と日本の参加グループにより加わる予定である。これらにより、CMBの温度ゆらぎ偏光の異方性を27, 39, 93, 145, 225, 280 GHzを中心とする6つのバンドで測定する。SATは、全天の10%の天域にわたり原始重力波がCMBに残す痕跡を探査する。LATは1分角程度の分解能で全天の半分を観測する。

このLATとSAT3台の4つの望遠鏡を合わせると、既存の他のすべての宇宙マイクロ波背景放射観測装置を合わせたよりも多い60,000個の超伝導検出器が空に向けられることになる。検出器は0.1 Kという低温で動作しノイズが低く精度と分解能が高い。プランク衛星の10倍の感度と5倍の空間分解能を有しているので、既存の他の宇宙マイクロ波背景放射探査観測の1桁以上サーベイ効率が高い。試験観測は2022年の終わりに開始され、2025年に本観測に移行し10年間程度継続する予定である。
ホームページ
サイモンズ天文台:https://simonsobservatory.org/
サイモンズアレイ:https://cosmology.ucsd.edu/simonsarray.php
アタカマ宇宙論望遠鏡:https://act.princeton.edu/

 

2025年06月21日更新

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    関連画像

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    サイモンズ天文台の望遠鏡(計画時の完成予定図)と関連望遠鏡。(出典は画像に明記)
    サイモンズ天文台と周辺の風景(2023年5月)。中央やや左がサイモンズ天文台、その右がアタカマ宇宙論望遠鏡、その手前がサイモンズアレイ。
    https://omnia.sas.upenn.edu/story/Devlin-and-colleagues-awarded-NSF-grant-upgrade-Simons-Observatory
    サイモンズ天文台。中央に見える3台のアンテナが小口径望遠鏡(SAT)、右下の白い建物が建設中の大口径望遠鏡(LAT)のドーム。
    https://www.in2p3.cnrs.fr/en/cnrsinfo/search-echo-big-bang-simons-observatory
    20 June 2024.
    大口径望遠鏡の反射主鏡と副鏡の組み込み作業(2025年2月)。
    https://www.simonsfoundation.org/2025/03/17/simons-observatory-large-aperture-telescope-achieves-first-light-milestone/