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固有運動

 

よみ方

こゆううんどう

英 語

proper motion

説 明

天球上での恒星の見かけの動きのこと。秒角/年(" y-1)の単位で測る。太陽や恒星は天の川銀河銀河系)という星の集団に属しているが、それらは天の川銀河の中心の周りを回っている。太陽は天の川銀河の銀河円盤に属する周辺の星々とともに回転しているがそれらの星々との相対位置は時間とともにわずかに変化する。また、銀河ハローに属する星は円盤とは異なる回転をしているので、相対位置の変化が大きい。この相対位置の変化が天球に投影されたものが固有運動である。一般に固有運動は近距離の星ほど大きいので、固有運動は近距離の星を見つける手段にもなる。

固有運動は1718年にハレーによって発見された。彼は、シリウス、アークトゥルス、アルデバランの位置が、古代ギリシアの天文学者ヒッパルコスが約1850年前に記録した位置よりも大きくずれているというティコ・ブラーエの先行研究を追認し、その原因を固有運動と考えた。

ほとんどの恒星の固有運動は1秒角/年以下で、最も固有運動の大きいバーナード星で10.36秒角/年である。また、年周視差連星系の運動と分離する必要もあるため、固有運動の観測には長期間にわたる精密な位置観測が必要である。

2024年08月16日更新

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    固有運動
    * 固有運動。
    郷田直輝「宇宙における距離の測定」、シリーズ現代の天文学第1巻、岡村・池内・海部・佐藤・永原編『人類の住む宇宙』第2版 2.4節 図2.14 (日本評論社)