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星間物質

高

よみ方

せいかんぶっしつ

英 語

interstellar matter

説 明

銀河内の星間空間に存在している物質のこと。通常、星やダークマターを除き、主にガス成分や星間ダストのことを指す。単に星間ガスということもある。星間媒質もほぼ同義で使われている。高エネルギー宇宙線や(電)磁場成分も対象として含める場合は星間媒質という言葉を使う方が良い。星間物質は、図に示したように、密度と温度の違いにより、コロナガス、HⅡ領域、雲間物質、HⅠガス雲、分子雲などに分類される。
星間物質のうち、温度が100 K程度の中密度ガスはHⅠガス雲あるいは中性水素ガス雲と呼ばれ、空間的に広がって分布しているが、銀河内に占める体積は小さいと考えられる。後述する雲間物質に比べて密度が百倍程度あるため、雲間物質の圧力と同じ程度の大きさの圧力を持ち、周囲を取り囲む雲間物質とは準圧力平衡にあると考えられる。単体で存在しているほか、分子雲の周りを取り囲むように存在している。中性水素原子の21cm線の吸収線によって観測される。
温度が1万度程度の低密度ガスを雲間物質という。雲間物質は天の川銀河銀河系)の円盤内に普遍的に存在しており、銀河円盤中の体積比率で大きな割合を占めると考えられている成分である。ガスの密度は1個 cm-3 以下程度であり、弱電離している。中性水素原子の21cm線が輝線で輝いているため、容易に観測される。
若い大質量星の周りには、HⅡ領域あるいは電離水素領域と呼ばれる水素ガスが電離した領域が形成される。HII領域はまわりよりもやや圧力が高い。温度が100万度程度の高温・低密度ガスをコロナガスという。超新星残骸の中やスーパーバブルの内部に観測されるため、超新星爆発により高温化したガスと考えられる。銀河系の円盤内部のほか、ハローなどでも観測される。銀河系中心領域では、コロナガスの占める体積の割合が大きいことが示唆されている。
分子雲は最も密度の高い星間ガスで、温度が10 K程度と低く、水素が分子として存在している。星間ガスの質量の多くを担っているが、星間空間に占める体積は非常に小さい。分子雲は、星の誕生現場である。
図の破線で示した直線は、圧力(密度×温度に比例)が一定の線である。コロナガス、雲間物質、HⅠガス雲は、ほぼ圧力平衡に近い状態にあることがわかる。一方、HⅡ領域と分子雲は周りよりも圧力が高い状態にある。HⅡ領域は高い圧力により、外側に向かって膨張している。それに対し、分子雲は自身の重力によりガスを閉じ込め、力学平衡に近い状態を保っている。

2018年10月29日更新

関連画像

* 絶対温度と密度で表された星間物質のさまざまな存在形態。3本の破線は、圧力(密度×温度に比例)が一定の線。コロナガス、雲間物質、HIガス雲は圧力がほぼ一定の線上に分布し、準圧力平衡にある。HII領域、分子雲は周りよりも圧力が高い。
福井康雄「星間物質」、シリーズ現代の天文学第6巻、福井・犬塚・大西・中井・舞原・水野編『星間物質と星形成』1.1節 図1.2(日本評論社)