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対物分光

 

よみ方

たいぶつぶんこう

英 語

objective spectroscopy

説 明

多天体を一度に分光する方法として、マルチスリット分光(スリット分光を参照)や光ファイバーで多くの天体の光を1列に並べ替えて分光するファイバー多天体分光などがある(多天体分光器を参照)。しかし、どちらも非常に複雑な装置となるため、宇宙望遠鏡などの特殊な環境下では利用することができない。そのような場合、スリットなしで分散素子を通して観測することで多くの天体のスペクトルを一度に観測することが可能である。この観測方法を対物分光(またはスリットレス分光)という。天体のスペクトルの重なりを分離するため、視野を回転させて数種類のスペクトル画像を取得し、その後の解析処理で個々の天体のスペクトルを抽出する。通常の分光方法に比べて、背景光が非常に大きくなることが欠点である。シュミット望遠鏡の補正板の直前に大面積のプリズム(対物プリズム)を入れて広視野の対物分光観測を行うことも可能である。

2018年09月05日更新

関連画像

ハッブル宇宙望遠鏡のグリズムを用いた超新星1987Aの対物分光画像。位置確認のため、グリズムを用いないで取得した画像(青)が重ねて表示してある。一番明るいスペクトルが1次の回折光で、それに続き2次、3次のスペクトルと、その反対側に分散のかかっていない0次光が写っている。連続光で光る星と、輝線放射で強く光る超新星残骸の写り方の違いに注意。
http://www.stsci.edu/~inr/thisweek1/thisweek/sn1987a_grism.jpg