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マルス計画

 

よみ方

まるすけいかく

英 語

Mars project

説 明

旧ソ連が1960-70年代に行った火星探査プロジェクト。マルスと名前がついているのは打ち上げに成功した1号から7号までだが、そのほかに打ち上げに失敗した衛星が多数ある。
地球から火星への探査機の打ち上げ機会は、ほぼ2年おき(780日)である。1960年に2機の火星探査機の打ち上げに失敗した後、1962年に打ち上げたマルス1号は、火星へ到着する前に通信が途絶した。1962-71年の間に7機の火星探査機が失敗した後、1971年に火星表面への軟着陸を目指してマルス2号、3号が打ち上げられた。2号の着陸船は大気突入時に破壊されたか地上に衝突して失敗、3号の着陸船は12月2日に着陸に成功したが、ノイズの多い画像を1枚送信しただけに終わった。質量分析器やローバ(車輪ではなくスキー板状の駆動機構を持っていた)による観測データは得られなかった。2号、3号の軌道船は火星周回軌道に入り、火星表面や大気の画像を取得している。1973年には4機の火星探査機(マルス4, 5, 6, 7号)の打ち上げに成功したが、電子回路などのトラブルにより当初の目的を達成することはできなかった。マルス4号は火星周回軌道に入れなかったが、5号は周回軌道に入り2週間ほど、火星表面の撮像を行った。マルス6号は火星表面に着陸したが、おそらく着陸時の衝撃のため通信が途絶。マルス7号は、着陸軌道に入ることができなかった。相次ぐ失敗のため、ソ連はターゲットを火星から金星にむけ、ベネラ計画を推進することになった。

2018年03月12日更新

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