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ガンマ線バースト

 

よみ方

がんませんばーすと

英 語

gamma-ray burst

説 明

米国の核実験探知衛星 「Vela」が発見したガンマ線の突発現象。秒程度から数時間にわたってガンマ線がバースト的に放出され、その後数日間にわたりアフターグロー(残光)が観測されることもある。英語のgamma-ray burstを略してGRBとも呼ばれる。個々のガンマ線バーストは、GRBの後に発生時刻の西暦下2桁、月、日の6桁の数値をつけた名前で呼ばれる(例 GRB 970228)。同じ日に複数発生したときはA, B, C, …とつける。ガンマ線バーストの継続時間の分布は長いものと短いものの二山分布になるため、継続時間2秒程度を境に、ロングガンマ線バースト、ショートガンマ線バーストと呼ぶことがある。
X線のアフターグローの観測からガンマ線バーストが天の川銀河銀河系)外の現象であることが判明し、宇宙最大のエネルギーが解放される現象であることが判明した。ロングガンマ線バーストはIc型超新星爆発(通常の大質量星の爆発と異なり、爆発の前に水素やヘリウムの外層を吹き飛ばした恒星が起こしたもの)と考えられる。このタイプで星が非常に重い場合には極超新星爆発(ハイパーノバ)を起こすが、それと関連していることが確実視されるようになった。
一方ショートガンマ線バーストは、二重中性子星連星が合体して生じた重力波LIGOVIRGOによって検出されてキロノバが出現したときに発生したことが確認されたので、このような現象に伴うものと考えられている。
マルチメッセンジャー天文学突発天体も参照。

2022年07月05日更新

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    関連画像

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    ロングガンマ線バーストとショートガンマ線バースト。
    https://gammaray.nsstc.nasa.gov/batse/grb/duration/ の図より作成。
    ガンマ線バーストのメカニズムの説明図
    https://en.wikipedia.org/wiki/Gamma-ray_burst
    の図に日本語ラベルを追記
    極超新星爆発を起源とするガンマ線バーストの模式図(京都大学・戸谷友則)
    http://groups.astron.s.u-tokyo.ac.jp/totani/grb_image/index.html
    はじめて赤方偏移(z=0.835, 距離約80億光年)が測定されたGRB 970508。右は残光が消えた後の母銀河だけが写っている。母銀河の赤方偏移は残光の赤方偏移とほぼ一致している。いずれもハッブル宇宙望遠鏡による撮影。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/GRB_970508 にある図より作成。