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黒体放射

高

よみ方

こくたいほうしゃ

英 語

black body radiation

説 明

黒体からの熱放射のことをいう。黒体から単位面積を通して単位時間、単位立体角、単位周波数あたり放射されるエネルギー密度は、黒体の温度だけで決まり、プランク分布で記述される(プランクの法則を参照)。黒体の温度が高くなるほどエネルギーが最大となる波長が短波長側に移動し(ウィーンの変位則)、波長の短い電磁波を多く放射する。恒星の出す放射は黒体放射にかなり似ていて、実際には黒体放射で近似されることが多い。宇宙マイクロ波背景放射は黒体放射である。
黒体放射のエネルギー分布(プランク分布)のグラフ表示では、一般に縦軸は放射強度輝度と呼ぶこともある)であるが、横軸は波長に取る場合と周波数に取る場合がある。また軸が線形目盛の場合と対数目盛の場合がある。それぞれの場合にグラフの見え方が大きく異なるので注意が必要である。

2023年10月07日更新

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    黒体放射のグラフ
    * 黒体放射のスペクトル(プランク分布)。横軸は波長で縦軸は単位波長(および単位面積、単位時間、単位立体角)あたりの放射強度(輝度)。上は線形目盛で下は対数目盛。
    山下卓也「天体からの光・赤外放射」、シリーズ現代の天文学第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 2章 図2.1(日本評論社)

    * 両対数目盛で表した黒体放射のスペクトル(プランク分布)。左は横軸が周波数で縦軸は単位周波数(および単位面積、単位時間、単位立体角)あたりの輝度(放射強度)、右は横軸が波長で縦軸は単位波長(および単位面積、単位時間、単位立体角)あたりの輝度(放射強度)。
    中井直正「黒体放射」、シリーズ現代の天文学第6巻、福井・犬塚・大西・中井・舞原・水野編『星間物質と星形成』2.2.1節 図2.3と図2.4 (日本評論社)
    * 黒体放射のスペクトル(対数目盛)
    クリステンセン他著、岡村定矩訳「見えない宇宙を観る」(丸善)の図を改変