アーロンソン
よみ方
あーろんそん
英 語
Aaronson, Marc
説 明
マーク・アーロンソン(Marc Aaaronson; 1950-1987)はアメリカの天文学者。キットピーク天文台の4mメイヨール望遠鏡で観測中の事故で死亡した。
アーロンソンはロスアンジェルスで生まれ、カリフォルニア工科大学を卒業後、1977年にハーバード大学で学位を得た。学位論文は銀河観測用の近赤外測光装置を開発し、それを用いて渦巻銀河の近赤外での性質を調べたものだった。
学位取得後にアリゾナ大学スチュワード天文台でポスドクの職を得た。そこでハクラやジャーミー・ムールド(Jeremy Mould)らとともに、近赤外線でタリー-フイッシャー関係を再構築する研究を始めた。渦巻銀河の距離指標関係式として提案されたタリー-フイッシャー関係が、Bバンドでの銀河の明るさを用いているために生じる不定性を避けるためであった。近赤外タリー-フィッシャー関係を用いて多くの渦巻銀河の距離を求めた結果、1986年までにアーロンソン達は、おとめ座銀河団への落ち込み運動を高い精度で検出し、大きな空間スケールで見たハッブル定数H0をおおよそ91kms-1Mpc-1と求めた。さらに、宇宙マイクロ波背景放射に対する局所銀河群の運動が、おとめ座銀河団への落ち込み運動と局所超銀河団が全体としてうみへび-ケンタウルス座超銀河団方向に引き寄せられている運動との合成(ベクトル和)で説明できることを示した。これはルービン-フォード効果(ルービンを参照)に始まる銀河の大規模な特異運動(bulk motionあるいはstreaming motionと呼ばれる)の研究に大きな影響を与えた。亡くなった時点において彼は、ハッブル宇宙望遠鏡で銀河の距離を決定するプロジェクトのリーダーであった。このほかにもアーロンソンは近赤外線での観測から多くの業績を上げた。ムールドらとともに、大マゼラン銀河や局所銀河群の矮小銀河中に、中間年齢の星である炭素星を発見した。また、矮小銀河の炭素星の分光観測から速度分散を求め、これらの矮小銀河にも大量のダークマターが含まれていることを示した。
アーロンソンは、1987年4月30日の夜メイヨール望遠鏡で観測中に、空の様子を見にキャットウォークに出ようとして、回転が止まりきっていないドームと扉に挟まれるという悲劇的な事故で36歳の若さで世を去った。アリゾナ大学は彼を記念するMarc Aaronson Memorial Lectureshipを設立している。
Physics Todayの追悼記事:
https://physicstoday.scitation.org/doi/10.1063/1.2811514
Marc Aaronson Memorial Lectureship:
https://www.as.arizona.edu/aaronson_lectureship
2024年11月12日更新
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