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小惑星地球衝突最終警報システム

 

よみ方

あとらす

英 語

Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System(ATLAS)

説 明

地球に衝突する小惑星などの地球接近天体(NEO)を、衝突の数週間から数日前に検出して早期警告を発出するシステム。自動望遠鏡4基(ハワイ×2、チリ、南アフリカ)で構成されており、移動天体を発見するために広天域監視観測を定常的に行っている。英文名称であるAsteroid Terrestrial-impact Last Alert Systemの頭文字を取ってATLAS(アトラス)と略称されている。ATLASは、ハワイ大学天文学研究所 (IfA) がアメリカ航空宇宙局(NASA)の資金提供を受けて開発・運用している。

アメリカハワイ州にある160 km離れた二つの観測所(マウイ島ハレアカラとハワイ島マウナロア)に設置した口径50 cmの望遠鏡は2017年から運用されており、二つの望遠鏡はそれぞれ、1晴夜で観測可能な空全体の1/4を4回観測するので、2台合わせると、2晴夜毎に全体を4回観測できる。2018年にはNASAからの追加資金を得て、南アフリカ天文台とチリのリオフルタド(Rio Hurtado)にも同様の望遠鏡を設置し、2022年から運用をはじめた。このため、観測可能な空が南天にも拡がったことに加え、1晴夜毎に4回の観測が可能になった。

ATLASは3番目の恒星間天体であるアトラス彗星(3I/ATLAS; C/2025 N1)や、2024 YR4(発見時2032年に地球に衝突する確率が1%あると言われた小惑星。詳細な軌道測定ののち、2032年の地球衝突の可能性はなくなった)などを発見している。ATLAS により2024 YR4が発見された際は直ちに国際小惑星警報ネットワーク(IAWN)に報告され、世界中の望遠鏡が2024 YR4の正確な軌道決定に協力した。

NEOなどの移動天体の検出を目的とする望遠鏡としてはパンスターズの口径1.8 mのPan-STARRS望遠鏡(PS1とPS2)があり、また2015年に試験観測を開始したベラルービン天文台の口径8 m望遠鏡による「時空間レガシーサーベイ(Legacy Survey of Space and Time: LSST)」からも大量のNEOや小惑星が検出されると期待される。パンスターズの望遠鏡はATLASよりも暗い天体まで検出でき、現在のNEO検出の主力となっているが、ATLASは数日以内に地球へ衝突する小惑星の検出と警告発出に特化する(より明るい天体を頻度高く監視する)点でパンスターズと相補的である。一方、LSSTは大量の暗いNEOや小惑星の発見によりこれらの天体の形成過程やその性質に関して新たな知見をもたらすことが期待される。プラネタリーディフェンスも参照。
ホームページ https://atlas.fallingstar.com/

2026年01月15日更新

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    関連画像

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    ハレアカラ観測所のATLAS望遠鏡
    https://atlas.fallingstar.com/
    紫金山-ATLAS彗星
    https://atlas.fallingstar.com/
    Image credit: C. Messier 28 September 2024