パンスターズ
よみ方
ぱんすたーず
英 語
Pan-STARRS: Panoramic Survey Telescope And Rapid Response System
説 明
専用の望遠鏡で継続的に全天をサーベイ観測し、移動天体や突発天体を検出するプロジェクトとして構想された。時間間隔をあけて撮影した画像を比較することにより、小惑星、彗星、変光星などを発見することができる。最終的には超広写野のCCDカメラを有する口径1.8 mの望遠鏡を4台設置する計画であるが、現在は2台(PS1とPS2)が稼働中である。
パンスターズ計画の最初の望遠鏡(PS1)は口径1.8 mで1.4 ギガピクセルからなる広視野CCDカメラ(GPC1)を有し、ハワイ州マウイ島のハレアカラ観測所に2006年に設置され、2008年12月にハワイ大学天文研究所(IfA)により観測が開始された。開発・建設資金の大部分はアメリカ空軍研究所とアメリカ航空宇宙局(NASA)によるものであった。観測開始初期はアメリカ空軍研究所の要請により生の観測データから人工衛星の航跡を検出し、その周囲をマスキング処理したのちにデータが科学コミュニティに提供されていたが、この処理は多数の誤検知を生み、データの科学的有用性を著しく低下させたため、数年で廃止された。
PS1望遠鏡は5つの広帯域バンド($g, r, i, z, y$)で、空の約1000平方度を約1時間の間に4回(1晩に約6000平方度を4回)撮像観測する。それらの画像を比較して、1時間の間に移動が検出された天体を同定する。そして地球接近天体(NEO)と思われるものは即座に国際天文学連合(IAU)の小惑星センター(MPC)に連絡し、世界中の望遠鏡のネットワークにより、その軌道や大きさを決めるための観測が行われ、地球への衝突の可能性などが判断される。その他の移動天体の位置と明るさも、通常観測から12時間以内に小惑星センターに報告される。
PS1望遠鏡では2010年から、6ヵ国16研究所からなるPS1科学コンソーシアムが定めた12のキープロジェクトを柱にしたサーベイ観測が行われている。その中でも4年間にわたり各フィルターで複数回実施され、全天の3/4を観測した「$3π$ サーベイ($3π$ステラジアンサーベイともいう)」は代表的なものである。PS1サーベイのデータは宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)から公開されている。$3π$ サーベイの限界等級は、$g,r,i,z,y < 23.3, 23.2, 23.1, 22.3, 21.3$ となっている。PS1サーベイで得られた恒星の高精度の位置と等級のカタログは他の望遠鏡で得られた画像での天体の位置や等級の補正の基準として使われている。
パンスターズ計画の2台目の望遠鏡(PS2)はハレアカラ観測所のPS1のそばに設置され2013年にファーストライトを迎えた。2015年5月13日にPS2が撮影した小惑星が、小惑星センターによってアポログループの地球接近小惑星として認定された。2014年からはPS1科学コンソーシアムが資金提供してPS1を運用し、NASAの支援のもとでPS2のコミッショニングも担当し、アメリカ空軍研究所はパンスターズには関わらないこととなった。
PS2によるサーベイは2018年に始まり、それ以来、PS2はPS1と同程度の地球近傍天体を発見しており、PS2が加わったことで、パンスターズのサーベイ能力と発見率は倍増した。パンスターズ望遠鏡はNEO発見の主力装置とも言える望遠鏡である。2025年4月時点で、約12,000個のNEO(既知のもの全体の約31%)、そのうち大きなもの(直径140 m以上)に限ると3260個(既知のものの29%)を発見している。直近の3年間に限れば、大きなNEOの54%を発見している。また2014年以降、毎年発見される新彗星の半数以上を発見している。天体観測史上初めて報告された恒星間天体であるオウムアムア(ʻOumuamua)の発見は、パンスターズによるものである。プラネタリーディフェンスも参照。
パンスターズのホームページ
https://www2.ifa.hawaii.edu/research/Pan-STARRS.shtml
https://panstarrs.ifa.hawaii.edu/pswww/
PS1のデータ公開サイト(宇宙望遠鏡科学研究所:STScI)
https://outerspace.stsci.edu/spaces/PANSTARRS/overview
国際天文学連合小惑星センター
https://www.minorplanetcenter.net
2026年01月15日更新
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