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21cm線

高

よみ方

にじゅういちせんちせん

英 語

21cm line

説 明

中性水素原子が放射吸収する、波長が21 cm(すなわち、周波数1420 MHz)のスペクトル線中性水素原子ガスをHIガスと呼ぶため、HI輝線・HI吸収線と呼ぶこともある。
中性水素原子を構成する陽子電子は共にスピンと呼ばれる物理量を持ち、それぞれ2つの状態を示し、上向き・下向きと呼ぶ。陽子と電子のスピンの向きが一致している時と、逆向きの時とで水素原子全体が持つエネルギーが僅かに異なり、これが変わる際に放射または吸収されるスペクトル線が21 cm線である。

電波天文学の黎明期に注目され、オランダのファン・デ・フルスト(van de Hulst)が存在を指摘し、米国のユーイン(H.I.Ewen)とパーセル(E.M. Purcell)およびオランダのオールト(J. H. Oort)達の2グループが1951年に独立に検出に成功した。その後、オールトらは精力的に観測を進め、その天球上および視線速度の分布を調べることで、天の川銀河銀河系)に渦巻腕に対応する構造が存在することを観測的に明らかとした。この解析の際に利用されたのが運動学的距離である。

2024年10月18日更新

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    HIの状態遷移
    陽子pのスピンと電子eのスピンが平行な状態から反平行な状態に遷移したときに波長21 cmの電波を出す。(図版作成:半田利弘)
    中性水素ガスの放射する21cm輝線で描き出された銀河系(天の川銀河)の構造。銀河面に垂直方向の分布は銀河面に投映されている。中性水素ガスが強く集中している渦巻腕の様子がよくわかる。
    出典:Oort, J.H. et al. 1958, MNRAS, 118, 379