大統一理論
よみ方
だいとういつりろん
英 語
grand unified theory
説 明
英文頭文字をとってGUTと略称されることも多い。素粒子相互作用の標準理論は、自然界で働く四つの力のうちの三つ、すなわち、強い力(強い相互作用)、弱い力(弱い相互作用)、電磁気力(電磁相互作用)がそれぞれSU(3), SU(2), U(1)というゲージ群で記述されるゲージ理論である。
その結合定数のエネルギー依存性を見ると、1015-16 GeVあたりで3つのゲージ結合定数が一致しそうであることがわかる。そこで、このスケールで3つのゲージ相互作用は統一され、より大きなゲージ群にしたがう1つの相互作用になっている、というのが大統一理論である。SU(3), SU(2), U(1)を包含するゲージ群として最も単純なのはSU(5)であり、左巻きクォークの3重項とレプトンの2重項が同じ5次元表現の中に埋め込まれるため、バリオン数やレプトン数を破る反応が可能になり、陽子が崩壊する(陽子崩壊が起きる)ことが示される。しかし、神岡陽子崩壊実験(カミオカンデ、スーパーカミオカンデを参照)が未だにそのような事例(イベント)を発見していないことから、SU(5)に基づく非超対称性理論はすでに棄却されている。
大統一理論のスケールとワインバーグ-サラム理論のエネルギースケールが安定に共存できるためには超対称性理論が必要であると考えられている。超対称性大統一理論では、統一のエネルギースケールが上がるため、SU(5)モデルであっても、実験と無矛盾である。
2025年05月16日更新
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