インフレーション理論
よみ方
いんふれーしょんりろん
英 語
inflationary cosmology
説 明
宇宙誕生後のごく初期に指数関数的な膨張期(この期間の膨張をインフレーション膨張という)を考えることによって、古典ビッグバン宇宙モデルの問題点である、地平線問題、平坦性問題、モノポール(磁気単極子)問題などを解決すると同時に、密度ゆらぎの起源も与える理論。1979年にロシアのスタロビンスキー(A. Starobinsky)、1980年に米国のグース(A.H. Guth)と日本の佐藤勝彦によってそれぞれ独立に提唱された。「インフレーション」という言葉はグースが論文のタイトルに使ってその後広まった。インフレーション理論の基本的な予言はさまざまな観測事実によく一致している。それらは、宇宙の大域的一様・等方性、空間曲率が実質的にゼロであること、密度ゆらぎのスペクトルがほぼスケール不変であること、そしてその統計がガウス分布(正規分布)に従うことである。
インフレーション膨張期には物質密度揺らぎとともに時空の揺らぎである重力波も生成される。重力波は宇宙マイクロ波背景放射に偏光成分をもたらすため、観測的な検証として宇宙マイクロ波背景放射の偏光観測が計画されている。
2024年10月13日更新
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