林忠四郎
よみ方
はやし ちゅうしろう
英 語
HAYASHI Chushiro
説 明
日本の天体物理学者(1920-2010)。恒星誕生の過程における林フェーズの発見、恒星の進化に関する林-蓬茨-杉本(HHS)論文、太陽系生成の京都モデル、ビッグバンでの元素生成理論などの業績がある。京都市生まれ、東京帝国大学理学部物理学科を卒業、京都大学湯川秀樹研究室助手になり、宇宙物理学教室でビッグバン元素合成の研究を行った。中間子やニュートリノの素粒子論を導入して陽子と中性子の混合から元素合成が出発することを示し、ガモフ(G. Gamow)などの理論を訂正した。またその結果をもとに、星の進化と元素の起源に関するいわゆる武谷-畑中-小尾(THO)理論と論争している。研究室では恒星進化を内部構造計算で系統的に追跡した。その際、星全体に対流が発達して重力収縮エネルギーを能率よく放つため、温度がほぼ一定で光度が高い時期があることを発見した。それより表面温度が低いと星にならないので、HR図上でその領域は林の禁止領域と呼ばれ、高光度にある時期は林フェーズと呼ばれた。さらにその研究を基礎にして、太陽系がガスとダストの原始太陽系円盤からできる過程を調べ、京都モデルをつくった。主宰した天体核研究室では多くの研究者を養成した。英国王立天文学会エディントンメダル、日本学士院恩賜賞、文化勲章受章。
日本天文学会では、林忠四郎博士が1995年に第11回京都賞を授与されたのを記念し、同博士からの寄付金を基金として1996年から、「天文学の分野において独創的でかつ分野に寄与するところの大きい研究業績に対して」林忠四郎賞を授与している。
これまでの受賞者: https://www.asj.or.jp/jp/activities/prize/hayashi/recipients/
「天文月報」追悼記事
http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/2010_103_06/103_394.pdf
2021年10月03日更新
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