星震学
よみ方
せいしんがく
英 語
asteroseismology
説 明
星の振動の観測を利用して星の内部を調べる研究。星の振動は、ガスの圧力を復元力とする音波モード(p-モード)と、浮力を復元力とする重力波モード(g-モード)に大別され、後者は非動径振動にのみ見られる。振動(特に非動径振動)は自転の速さ、磁場、および内部で起きている対流や物質拡散(一部の元素が内部に沈む効果)の影響を受けるため、測光観測や視線速度変化の観測による各振動モードの周期(周波数)測定からこれらの恒星内部の現象を調べることが可能となる。 近年、MOST, コロー、ケプラー、BRITE,および テス衛星などによる大気圏外からの精密で長期間にわたる測光によって得られたデータの解析により、星震学が急激に発展している。
非動径振動は、一つの恒星で同時に数多くの周期(周波数)観測され、それらの値の範囲および規則的分布から恒星内部についての種々の情報が得られ、星震学にとって重要である。太陽のように表面対流層をもつ星では、太陽の5分振動と同じく、対流層で発生した音波が共鳴して多数の高調波音波モードが励起されているとみられ、実際にいくつかの星でそれが検出されている。また、A型特異星には周期10分程度の音波振動を示すものが知られており、roAp星(rapidly oscillating Ap star)と呼ばれる。これは自転軸に対して傾いた磁軸に軸対称な双極子型非動径振動の高調波音波モードと同定されている。一方、g-モード振動は、主系列星の低速脈動B型星(SPB星)およびγDor型星などで観測され、さらに、白色矮星への進化の前段階で表面温度が約十万度の前期白色矮星(GWVir型変光星)、白色矮星などに観測される。それらの振動周波数から自転周波数を知ることができる。また、GWVir型星、白色矮星のgモード周波数には永年変化を示すものがあり、それらから前期白色矮星および白色矮星の進化速度を知ることができる。
2024年10月30日更新
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