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アルファ磁気分光器

 

よみ方

あるふぁじきぶんこうき

英 語

Alpha magnetic spectrometer

説 明

磁場を利用して高エネルギー宇宙線や未知の粒子の電荷と運動量を測定する装置。Alpha Magnetic Spectrometer の頭文字をとって AMSと略称される。米国エネルギー省が主スポンサーで、代表研究者サミュエル・ティンが16か国(AMS-02の場合)からなる国際チームを率いている。

1. AMS-01
プロトタイプ装置として、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭載され、1998年6月2日から12日まで、高度320-390 ㎞、軌道傾斜角51.7度の軌道において観測を行った。0.14 Tの円筒形ネオジム合金製磁石の上下に、シリコン飛跡検出器、飛行時間測定器、反同時計数検出器およびチェレンコフ光測定器を備え、磁場によるローレンツ力で引き起こされる荷電粒子の運動量変化を測定することにより、高精度で粒子の電荷と運動量を測定した。特に、反ヘリウム(ヘリウムの反物質)の探査を行い、(通常の)ヘリウムとの数の比として百万分の1以下という上限値を与えた。

2. AMS-02

スペースシャトル・エンデバー号により2011年5月11日に打ち上げられ、国際宇宙ステーションのトラス上部S3ポイントに設置された総重量8.5トンの装置で、2019年現在も観測を続けている。0.14 Tの磁石(AMS-01で使用されたもの)の上下には多数の粒子検出器を備え、AMS-01より冗長性が高く、高精度な測定が可能な構造になっている。(当初は超伝導磁石を搭載する予定であったが、宇宙環境で極低温を保つことが困難であることが分かり、常伝導磁石に変更された。結果として、装置の運用期間を延長することが可能になった。)測定可能な最大リジディティ(=運動量/電荷)は約2×1012 Vである。反物質ダークマターの探査を主な目的としているが、高エネルギー宇宙線の同位体比も含めた精密測定結果も大きな成果となっており、特に陽電子電子に対する比が高エネルギーで予想に反して大きいことを報告した結果は注目を集めた。

ホームページ:https://ams.nasa.gov/

2023年04月18日更新

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    関連画像

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    AMS-02の外観図
    (https://ams.nasa.gov/images_Overall_Summary_Photos.html

    AMS-02の測定器。
    (A. Kounine, International Journal of Modern Physics E, 21, (2012) 1230005)
    TRD(Transition Radiation Detector、遷移放射検出器)、Silicon Tracker(飛跡検出器)、ECAL(Electromagnetic Calorimeter、電磁カロリメータ)、TOF(Time-of-Flight system、飛行時間測定器)、Magnet(磁石)、RICH(Ring-Imaging Cherenkov Detector、リング像検出型チェレンコフ検出器)が示されている。図中「Z」は粒子の電荷、「E」は粒子のエネルギー、「P」は粒子の運動量、「e-」は電子、「e+」は陽電子、「γ」はガンマ線を示す。
    国際宇宙ステーション上でAMS-02が取り付けられている位置。
    (https://ams.nasa.gov/images_Overall_Summary_Photos.html