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光子球

 

よみ方

こうしきゅう

英 語

photon sphere

説 明

ブラックホール事象の地平面の外側にある薄い球殻状の境界領域。この領域では重力が強いので、入射した光子はブラックホールの周りを周回する。周回した光子は最終的にブラックホールに吸い込まれるか、外側に飛び去っていく。光子球の内側から観測者に届く光子は少なくなるので、ブラックホールの中心付近は影となって見える。この影をブラックホールシャドウと呼ぶ。明るく輝く高温プラズマ中にブラックホールがあると、光子球の外側で表面輝度が高まるので、観測者にはブラックホールシャドウを取り巻く光子リングが見える。リング状に見えるのは、ブラックホールをどの方向から見ても同じである。


ブラックホールに突入するカメラが見る映像。銀河系中心にあるのとほぼ同じ、太陽質量の430万倍の回転していないブラックホールに落ち込んでゆく様子をアメリカ航空宇宙局(NASA)がスーパーコンピュータを5日間動かして制作した。タイムスタンプ1:36-2:23では、画面右下に光子リングと事象の地平面に対するカメラの位置が示されている(字幕は英語)。

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2024年05月21日更新

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    光子球とブラックホールシャドウのイメージ図。
    (上)光子球周辺の光の軌跡の模式図。光子球の内側に入るとブラックホールの重力にとらえられ、ブラックホールを周回しながらやがてブラックホールに吸い込まれる。それより少し外側を通過する光は、進行方向が曲げられるため、本来は地球に届かない光も地球に届くようになる。(下)観測者に向かってくる光の軌跡を斜めから見た図。光子球の外側に光が集まりリング状に見えることが分かる。この見え方は、どの方向から見ても同じである。
    https://alma-telescope.jp/assets/uploads/2019/04/20190410_EHT_BHshadow.jpg
    Credit: Nicolle R. Fuller/NSF

    おとめ座銀河団にある巨大楕円銀河M87(距離約5500万光年)の中心核にあるブラックホールのシャドウ(影)とそれを取り巻くリング。光子球の外側にできるリングを見ている可能性が高い。リングの直径は約42マイクロ秒角である。国立天文台提供の原図に補足説明を記入した(作成 岡村定矩)
    原図出典:https://www.nao.ac.jp/news/sp/20190410-eht/images.html (クレジット:国立天文台)