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潮汐ロック

 

よみ方

ちょうせきろっく

英 語

tidal locking

説 明

共通重心の周りを公転している二つの天体の一方または両方が、潮汐の影響により自転周期と公転周期が等しくなっている状態を指す言葉。同期自転とも言う。この状態では、天体が常に相手に同じ面を向けて回転する。

もっとも身近な例は地球である。月の自転周期と公転周期はほぼ同じ約27.3日であるために、月は常に地球に同じ面(表)を向けており、裏は見えない(ただし、さまざまな理由から全表面の約60%は地球から見ることができる;秤動を参照)。木星の四つのガリレオ衛星も木星とほぼ同期自転しており潮汐ロックの状態にある。また、冥王星とその衛星カロンも潮汐ロックにより同期自転している。太陽系外惑星ホットジュピターで公転周期が1日程度以下のものは主星と潮汐ロックの状態にあると考えられている。

2025年10月05日更新

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    * 潮汐摩擦が地球の自転にブレーキをかける潮汐ロックの仕組み(月の公転面に垂直な方向から見た図)。潮汐力(白矢印)は地球のそれぞれの場所での月による重力(黒矢印)から、地球の重心に働く重力(二つの黒矢印の平均)を差し引いたもの。太陽の影響は無視し、海水の形状と角度は誇張してある。
    浜野洋三「自然災害と地球の仕組」、シリーズ現代の天文学 第1巻、岡村・池内・海部・佐藤・永原編『人類の住む宇宙』第2版 6.3節 図6.25(日本評論社)