アルハゼン
よみ方
あるはぜん
英 語
Alhazen
説 明
アルハゼン(Alhazen;c.965 – c.1040)はイスラムの自然学者、数学者、天文学者。ヨーロッパではAlhazenというラテン名で呼ばれてきたが、正式名はIbn al Haytham(イブン・アル=ハイサム)。主にエジプトの地で研究を行なった。特に近代的光学研究の先覚者として、西欧世界では“近代光学の父”と称えられる。天文学では、プトレマイオスのエカントに反対して、同心球的な惑星運動を復活させようとした。『視覚論』(光学の書)を1011-21年頃に著わした。本書は13世紀初頭にラテン語訳された。1572年にドイツで『光学宝典』(Opticae Thesaurus)という題名で出版されたため、ヨーロッパで広く知られるようになった。“見える”ということは、対象物から何かが放射されて眼に流入するからという概念を初めて唱えた。眼球の構造、レンズや凹面鏡、光の屈折現象を研究した。月が太陽光を反射して輝く仕組みや、太陽の出没前後の薄明現象を調べて、大気も光を屈折させる作用を持つことを明らかにした。観察と実験から一般法則を帰納するアルハゼンの研究態度は、西欧近代の科学的方法に近かったため、後にロジャー・ベーコン、ケプラー、デカルトらに大きな影響を与えた。
2024年06月01日更新
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