天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

X線望遠鏡

高

よみ方

えっくすせんぼうえんきょう

英 語

X-ray telescope

説 明

X線は物質透過力が高いため、面にほぼ垂直に入射する構造の反射鏡は作れず、小角度で入射したときの全反射現象を利用して集光する。X線に対する金属の屈折率は真空の屈折率より少しだけ小さいため、全反射が起こるが、その臨界角(金属面とX線のなす角)は1度程度と非常に小さい。このことを利用した斜入射型X線反射望遠鏡は、X線が全反射条件を満たすような小角度で鏡面に入射するように作られる。
X線の反射面には金や白金がコーティングされ、回転放物面と回転双曲面の2つの反射鏡で2回反射させ、光軸外での像の収差を小さくしたウォルターI型と呼ばれる光学系がしばしば用いられる(上図参照)。反射鏡の表面に間隔dで多層の反射膜を作ると、X線の反射面に対する入射角を\thetaとして、ブラッグの条件n\lambda=2d\sin\thetanは整数)を満たす波長(\lambda)のX線は干渉によって強め合う(ブラッグ回折)ため、X線領域での反射率を高めることができる(多層膜X線反射鏡)。また、近年のスパッタリング技術の向上により、0.3 keV程度以下の軟X線から極端紫外線に対しては、大きな原子番号を持つ反射層と、小さな原子番号を持つスペーサ層を交互に周期的に積み重ねた多層膜を直入射鏡に成膜(製膜)して、直入射型X線反射望遠鏡を構成することができるようになった。スーパーミラーも参照。

2018年09月17日更新

関連画像

X線望遠鏡
* 金属面でのX線の全反射を利用したウォルターI型の斜入射型X線望遠鏡
小山勝二・満田和久「X線の観測」、シリーズ現代の天文学第17巻、井上・小山・高橋・水本編『宇宙の観測III』1章 図1.35(日本評論社)