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スペクトル型(小惑星の)

 

よみ方

すぺくとるがた(しょうわくせいの)

英 語

spectral type

説 明

可視光域から近赤外域までの反射スペクトルから小惑星を分類したもの。スペクトル型、すなわち小惑星の色は、表層物質の組成や宇宙風化度を反映している。基本的な分類は、Cタイプ、Dタイプ、Sタイプ、Vタイプ、Xタイプの5種類に分けることができる。Cタイプ、Dタイプは炭素質コンドライトに対応するスペクトルで、小惑星帯の外側に多い。Sタイプは可視光域の反射率曲線の傾きが大きく、0.7μm にピークを持ち、小惑星帯の中心部から内側に多い。普通コンドライトの反射スペクトルが宇宙風化作用で変化したものである。Vタイプは1μm 、2μm に吸収帯がある輝石に特有のスペクトルで、玄武岩質のエコンドライト隕石であるHED隕石(エコンドライト母天体の原始地殻に由来すると考えられる隕石)に対応している。それらはVタイプで最大の小惑星ベスタから放出された衝突破片から、形成されたと考えられる。Xタイプは、反射率が波長が大きくなるのに従い穏やかに増加する。反射率の低い方から、P, M, Eタイプと分類され、それぞれ炭素質隕石、鉄隕石、エンスタタイトコンドライト・エコンドライトに対応すると考えられている。しかし、Mタイプの中で、水の存在を示す吸収帯が発見されたものは、鉄隕石ではないと考えられる。
これまで40万個以上登録されている小惑星のなかで、分光観測により分類が行われているのは数万個の天体であるが、サーベイ観測によりその数は増加している。同じ族に属する小惑星は、もともとは一つの天体が衝突で分裂したものであり、スペクトル型も近くなるはずである。これから、軌道要素が近くて同一の族とされていた小惑星のなかで、族のメンバーでない天体を見つけることが可能になる。コンドライトも参照。

2018年09月16日更新

関連画像

*可視光域での小惑星の代表的なスペクトル型。
長谷川 直「小惑星」、シリーズ現代の天文学第9巻、渡部・井田・佐々木編『太陽系と惑星』 5.1節 図5.4 (日本評論社)