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速度楕円体

 

よみ方

そくどだえんたい

英 語

velocity ellipsoid

説 明

恒星の3次元的な速度分散を表す。太陽系近傍の恒星固有運動と距離、および視線速度を測定することにより、その恒星の3次元空間での運動(v_x, v_y, v_z)を知ることができる。個々の恒星はランダムな運動を示すが、その全体としての傾向は、天の川銀河銀河系)の半径方向、回転方向、および銀河面に垂直な方向に対して異なる速度分散(\sigma_x,\sigma_y, \sigma_z)を持つガウス分布(正規分布)で概ね近似できることが知られている。この分布を速度空間での楕円体として表現したものを速度楕円体と呼ぶ。速度楕円体が非等方な原因の1つは銀河回転にあり、それだけが影響していると考えた場合には速度楕円体の軸比はオールト定数A, Bと簡単な関係になり、半径方向の速度分散\sigma_xに対する回転方向の速度分散\sigma_yの比は、
\frac{\sigma_y}{\sigma_x}=\sqrt{-\frac{B}{A-B}}
で表される。

2018年09月03日更新

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