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不確定性原理

高

よみ方

ふかくていせいげんり

英 語

uncertainty principle

説 明

量子力学の根幹をなす概念の1つ。1つの物理量の決定精度が向上すると、それに反比例して決定精度が原理的に劣化する物理量が1つ存在するという理論上の概念。1927年にドイツのハイゼンベルク(Werner Heisenberg)によって提唱された。このような物理量の対を、互いに共役であるといい、それら二つの決定精度の積は $h/4\pi = \hbar/2$ が限界でそれより小さくはできない。ここで、$\hbar$換算プランク定数$h$プランク定数$\pi$は円周率である。共役関係にある物理量の例としては、粒子の位置と運動量、角度と角運動量、時間とエネルギーなどがある。量子遷移に伴う線スペクトル自然幅を持つのも、不確定性原理の直接の効果である。

ある粒子の位置 $x$ と運動量 $p$ を測定する場合の不確定性原理を表すハイゼンベルクの不等式は以下のようになる。

$$\Delta{x}\times\Delta{p}\ge\frac{h}{4\pi}$$

ここで、$\Delta{x}$ は位置測定の平均誤差、$\Delta{p}$ は運動量測定の平均誤差を表す。すなわち、位置を精密に測定しようとする($\Delta{x}$ を小さくしようとする)と運動量の不定性 $\Delta{p}$ が大きくなり、逆に運動量を精密に測定しようとする($\Delta{p}$ を小さくしようとする)と位置の不定性 $\Delta{x}$ が大きくなるのである。

このハイゼンベルクの不等式よりも精密な不等式が2003年に名古屋大学の小澤正直により提案され、小澤の不等式と呼ばれている。2009年に小澤の不等式の正しさが実験により証明された。

2025年01月15日更新

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