天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

New

レンズ状銀河

高

よみ方

れんずじょうぎんが

英 語

lenticular galaxy

説 明

ハッブル系列において楕円銀河渦巻銀河の中間に位置する銀河。楕円銀河よりずっと扁平だが、渦巻腕を持たない。研究者の間では分類記号に由来するS0(エスゼロ)銀河と呼ばれることが多い。
ハッブル分類の当初は仮想的なタイプとして導入されたが、実際に観測によって見つかった。渦巻銀河のように回転で支えられる薄い銀河円盤(ディスク)成分を持つが、円盤内に顕著な渦巻腕は見られない。またガスやダストをほとんど含まず、星生成活動は一般に楕円銀河のように不活発で古い星の種族からなる。楕円銀河と同じ早期型銀河に分類される。銀河円盤を持つレンズ状銀河と渦巻銀河を総称して円盤銀河(disk galaxy)と言うことがある。銀河の形態分類も参照。
円盤銀河では、銀河を見る方向により、銀河円盤をほぼ真横から(円盤の垂線に垂直で円盤が最も薄く見える方向から)見る場合をエッジオン(edge-on:横向き)、それにほぼ垂直で銀河円盤を正面から見る場合をフェイスオン(face-on:正面向き)と呼ぶ。このように見えている銀河をそれぞれエッジオン銀河、フェイスオン銀河と呼ぶことがある。ただし、これは定量的な定義ではないことに注意する。

2022年01月12日更新

この用語の改善に向けてご意見をお寄せください。

受信確認メール以外、個別のお返事は原則いたしませんのでご了解ください。

    関連画像

    画像をクリックすると拡大されます

    * ハッブル系列を表すハッブルの音叉図
    (土居守「銀河の種類と形態分類」、シリーズ現代の天文学第4巻、谷口・岡村・祖父江編『銀河I』第2版 1.1節、図1.1(日本評論社)
    (原図はE. Hubble 1936, The Realm of the Nebulae (Yale University Press))

    CFHT(カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡)で撮影されたエッジオンのレンズ状銀河の一つNGC3115の画像。(クレジット:John Kormendy、 University of Texas at Austin)
    http://chandra.as.utexas.edu/bh/NGC3115.jpg
    フェイスオン銀河とエッジオン銀河。各銀河の画像の出典は以下である。
    NGC 524
    https://www.nasa.gov/content/goddard/hubble-eyes-a-mysterious-old-spiral
    Image Credit: ESA/Hubble & NASA, Acknowledgement: Judy Schmidt
    NGC 4762
    https://www.spacetelescope.org/images/potw1443a/
    Credit: ESA/Hubble & NASA
    NGC 628(M74)
    https://apod.nasa.gov/apod/ap011004.html
    Credit: Gemini Observatory, GMOS Team
    NGC4565
    https://apod.nasa.gov/apod/ap040409.html
    Credit: Bruce Hugo and Leslie Gaul, Adam Block (KPNO Visitor Program),
    NOAO, AURA, NSF