KAGRA大型低温重力波望遠鏡
よみ方
かぐらおおがたていおんじゅうりょくはぼうえんきょう
英 語
KAGRA Large-scale Cryogenic Gravitational Wave Telescope
説 明
岐阜県飛騨市にある神岡鉱山の中に建設された日本の大型低温重力波 望遠鏡。KAGRAの愛称(KAは神岡のKA, GRAはGravity やGravitational wave といった重力をイメージする言葉の頭の文字をとったもの)がつく以前はLCGTと呼ばれていた。基線長 3 km をもつレーザー干渉計を用いて、直交する基線が重力波によって微小に伸び縮みする量を測定する重力波検出器である。
レーザーを基線中で何回も反射させて伸び縮みの量の測定精度を上げる。反射鏡を揺らす原因である地面振動を小さくするため、地下に設置された。地面振動に加えて鏡を揺らすもう1つの原因である熱雑音を抑えるため鏡をマイナス250度(20 K)まで冷却する。光学特性に優れていること、低温に冷却すると熱伝導や機械的損失が少なくなることなどからサファイアを反射鏡に用いる。2010年に建設を開始し、2020年4月から本格観測を開始した。性能向上作業は継続中である。
重力波検出器は1台では重力波の到来方向を正確に決められず、また感度の高い方向と低い方向があるので、複数台の装置が連携して観測することで性能が大きく向上する。2019年にKAGRAとアメリカのLIGO、ヨーロッパのVIRGO干渉計の三つの重力波望遠鏡の間で研究協力協定が締結された。LIGO-Virgo-KAGRAのコラボレーションは2024年春から本格的な共同観測を予定していたが、KAGRAは2024年1月の能登半島地震による被害の復旧のため予定通りの観測は難しくなっている。
マイケルソン干渉計も参照。
2024年01月19日更新
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