対流オーバーシューティング
よみ方
たいりゅう おーばーしゅーてぃんぐ
英 語
convective-overshooting
説 明
恒星内部での対流は、放射でエネルギーが運ばれるのに必要な温度勾配(放射温度勾配∇rad)が断熱温度勾配(∇ad)よりも大きい時(∇rad > ∇ad)に起こる。恒星内部構造のモデルを計算する際、対流-放射層境界を、∇rad = ∇ad の場所(球殻)に設定するのが最も単純であるが、∇rad = ∇ad の位置は、流れの加速度がゼロとなる地点で、流れが止まる場所ではないので、実際の対流層境界はそこからある程度放射層に入り込んだ場所であることが想像できる。この現象が対流オーバーシューティング(convective-overshooting)である。この距離を理論的に知ることは困難なので、その場所での圧力変化スケール長(pressure-scale-length)の~10%くらいの距離のオーバーシューティングがあることを仮定することが多い。実際には、オーバーシューティングは時間的にも場所的にも定常的ではない。例えば、対流核の境界では大きな対流渦の運動により境界が歪められ、その時間変化により内部重力波(IGW)が発生する。それは恒星表面まで伝播し振幅の非常に小さい不規則な変光を生じる。それらは、TESS衛星による精密な測光観測により、大質量主系列星で観測されている。
2025年03月28日更新
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