半対流
よみ方
はんたいりゅう
英 語
semiconvection
説 明
恒星内部では、放射によるエネルギー輸送に必要な温度勾配(放射温度勾配; ∇rad)が断熱的温度勾配(∇ad)よりも大きくなった時、静水圧平衡にある放射層が不安定となり、対流が起こる。対流はエネルギー輸送だけでなく、ガス混合も効率よく行うため、対流領域のほとんどの領域で元素組成が均一に保たれる。しかし、∇rad がガスの不透明度(opacity) $\kappa$ に比例し、$\kappa$ がガスの元素組成に依存することから、対流層内部と放射層との間で元素組成が異なる場合、単純な境界には物理的矛盾が生じることがある。その場合には、放射層と対流層の間に半対流(semiconvection)層が挟まれていると仮定される。半対流層内では混合が核融合のタイムスケールで非常にゆっくり起こり、∇rad = ∇ad となるように元素組成に勾配が形成されている考える。このような半対流は大質量主系列星の対流中心核、および中小質量星のヘリウム燃焼中心核(セファイドループ星、クランプ星、水平分枝星)の境界などで現れる。特に、ヘリウム燃焼核の場合は半対流によって、その外側のヘリウムが対流核内に取り込れて核燃焼に使われるので進化のタイムスケールが長くなる。
2025年03月28日更新
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