密度パラメータ
よみ方
みつどぱらめーた
英 語
density parameter
説 明
宇宙に存在する成分の全エネルギー密度 $\rho$ を臨界密度 $\rho_{\rm c}$ で割った値(無次元量)であり、記号$\Omega$ を用いて次式で示される。
$$\Omega\equiv\frac{\rho}{\rho_{\rm c}},\hspace{1cm}
\rho_{\rm c}\equiv\frac{3c^2H^2}{8\pi{G}}$$
ここで、$H$ はハッブルパラメータ、$c$ は光速度、$G$ は万有引力定数である。宇宙の全エネルギー密度がちょうど臨界密度に等しい($\Omega=1$)時に宇宙は空間的に平坦になり、臨界密度より大きい($\Omega>1$)と空間曲率は正、小さい($0<\Omega<1$)と負になる。
近年、宇宙には普通の物質(バリオン)以外にダークマターとダークエネルギーがあることが明らかになって、密度パラメータもそれぞれの成分に分けて以下のように表記することが多くなった。
$$\Omega_{\rm total}=\Omega_{\rm b}+\Omega_{\rm dm}+\Omega_{\rm \Lambda}$$
ここで、添え字 ${\rm b}$ はバリオン(baryon)、${\rm dm}$ はダークマター(dark matter)、$\Lambda$ はダークエネルギーを表す(放射の成分は宇宙の初期以外は小さいので無視している)。さらに、バリオンとダークマターを合わせて物質(matter)として、以下のように表すこともある。
$$\Omega_{\rm total}=\Omega_{\rm m}+\Omega_{\rm \Lambda}$$
プランク衛星による宇宙マイクロ波背景放射の観測などから宇宙は極めて平坦に近い($\Omega_{\rm total}\sim{1}$)ことが分かっている。標準モデルであるΛCDMモデルでは、$\Omega_{\rm total}=1$ と仮定されている。
密度パラメータは時間の関数であり、現在($t=t_0$)の値を示す時には、$\Omega_{{\rm total, 0}}$ のように添え字の0を付ける。
2025年10月01日更新
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